/超内容修正しました(2024/12/23)
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──とある7日間の話をしたい。
突然不思議な怪異に巻き込まれ、普通の日常では考えられないような話だ。
その日、私は会社帰りだった。
残業に追われ、外が暗くなるまで働かされていた。
というのも、これが通常という訳ではない。
偶然、同じ担当の人らが風邪で休んでしまった。そのおかげで、その人たちの穴埋めを夜中までしていたのだ。
その後は、いつものように会社を出た。
静まる住宅街を通り過ぎ、帰る場所であるアパートに向かった。
錆び付いた2階分の螺旋階段を登る。
自分の部屋の扉を開ければ、鼻につく臭いがした。
何か煙たい…煙草のような匂いだ。
…まぁいいか。
疲れた頭ではあまり深く考えることはできず、そのまま玄関を進んだ。
強まる煙草のような匂い。
やっぱりおかしいな…なんて思いながらも、私は気のせいにすることにした。
目に慣れない暗闇の部屋に身を落とす。
玄関とリビングを仕切る扉を開けた、その瞬間だった。
視界がぐわんと揺れた。
気づいた時には、瞬きさえも許さない早さで、私の首に手がかけられていた。
一瞬の思考もできず、私の体は既に宙にぶら下がっていた。足をジタバタと動かし、少しでも抵抗する。
何も出来ないままドン、と壁に体が押し付けられた。
その強い衝撃に体が跳ね返る。
恐怖と息苦しさに、声が出ない。
何が起きているのかと塞いだ瞼をこじ開ければ、背の高い男が部屋にぽつんといた。そして恐ろしい形相で私の首を締め上げていた。
鋭い三白眼が私を睨む。
手持ちにあったバッグは、中身をさらけ出して転がっている。
男が低く問う。
心臓を突き刺すような、鋭い眼差しに貫かれる。
まるで理解が追いつかなかった。
ころ、す?
もう体力が限界であった私は抵抗も虚しいまま、息苦しさと一緒に意識を落とした。
深海のように沈んだ意識が次第に醒めてくる。
目が覚めた私は、ゆっくりと目を開けた。
部屋の明かりが眩しくてつい唸ってしまう。
目の前に見えたのは、天国でも地獄でもなく見慣れたアパートの天井だった。
床に手を付き、体を起き上がらせる。
聞こえるはずのない声がして血の気が引く。
視線を声のする方に向ければ、少し距離が離れたところに男が静かに椅子に座っていた。
あの時、あの夜、私の部屋にいた男だ。
悲鳴をあげたいのに、なぜか反射的に自分の手で口を塞いだ。
恐怖の対象から離れるために、反対のベッドの上まで後ずさる。
すると、男は両手を掲げた。
痛むところ…。
──はっ、と記憶を掘り返す。
首が締まる感覚が明確に蘇る。
足が浮くぐらい強い力で掴まれ、革手袋越しの男の手の感覚、眼差しが記憶にハッキリ残っていた。
顔が一気に青ざめる。
それと同時に呼吸が不安定になった。
──ああ、駄目だ、これ過呼吸だ。
すると男が、落ち着いた口調で言った。
いつの間にか距離が近づいていた。
男は私の腰に手をまわすと、背中を優しすさすった。
吸って、吐いて 吸って、吐いて。
呼吸のリズムが整っていく。
徐々に安定した呼吸になっていき、最後に深呼吸をした。
そこで、恐る恐る男に視線を向ける。
日本語が通じ、言葉使いは流暢なものの、顔立ちはどう見ても欧米人のそれだった。
髪は白く、サングラスをかけている。極めつけに、黒いスーツを身にまとっていた。
それはどれも高級そうなもの。どれも私にはほど遠いものだ。
吃り気味の声に、彼が返答する。
ゔぁん…だー…
お互いが無言になる。
すると、彼が口を開く。
驚くほどに会話が噛み合わない。
何一つ解決されない謎に、頭が痛くなる。
そもそも、私の部屋にこの人がいる自体がおかしいのだ。
可能性として彼が強盗や空き巣であれば、さっさと逃げているだろう。
しかも、こんな風に普通に会話ができて、冷静に私の対応をしてくれる。適度な距離を取り、落ち着いた声色で話しかけてくれた。
何がどうれあれ、この状況はありえないことだった。
彼の鋭い瞳が私を見つめた。
しかしそこには、先程の不穏な視線はない。ただただ冷静で、どこか困惑して眼差しだった。
彼、ダーマーさんは、意外そうに私を見た。
すると、ため息と同時に額に手をついた。
ため息と同時に俯いた視線が上がり、お互いの視線が合わさった。
帰宅したら白髪の男に遭遇しました【van】
Episode.1【1日目】続
こんばんは、さささ塔です。
自己満&自給自足のstgr逆トリップもの書きました。
誰かに刺さればいいなーと言うのと、もっとみんなも書いてくれーって言うのと…。とりあえず連載するので応援よろしくお願いします。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。