瑞希先輩が差し出したスティックを、私はそっと受け取った。
手のひらに伝わる木の感触が、少しくすぐったい。
瑞希先輩は自分のスティックを軽く持ち上げ、指先で器用に転がして見せた。
私は言われた通りにスティックを持ち直してみる。
瑞希先輩は口で**「タン、タン、タタタン」**とリズムを刻みながら、ゆっくりとスネアを叩いた。
私は少し緊張しながら、それを真似するようにスティックを振り下ろした。
タン、タン、タタタン——
瑞希先輩がにこっと笑う。
瑞希先輩が見本を見せてくれる。確かに、スティックが太鼓の面に当たると、ふわっと跳ね返る。
私はもう一度試してみる。
タン、タン、タタタン——
今度は少しだけ、スティックの動きがスムーズになった気がした。
突然の誘いに、心臓がドクンと跳ねる。
私は玲奈のほうを見る。
玲奈はにこっと笑った。
たしかに、私は今、ワクワクしている。
瑞希先輩が嬉しそうに頷いた。
こうして私は、打楽器パートの一員になることを決めた。
翌日、私は入部届を手に、玲奈と一緒に音楽室へ向かった。
そんな話をしているうちに、音楽室に到着した。
扉を開けると、すでに先輩たちが楽器を準備していた。
瑞希先輩が手を振る。
周りにいた他の打楽器メンバーも、次々に声をかけてくれる。
瑞希先輩が指差したのは、短髪で元気そうな男子生徒だった。
瑞希先輩の笑顔に、私は安心した。
——ここなら、きっと楽しくやっていける。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。