第5話

初めてのスティック
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2025/03/26 09:00 更新
藤崎 瑞希
試しに、叩いてみる?
瑞希先輩が差し出したスティックを、私はそっと受け取った。

手のひらに伝わる木の感触が、少しくすぐったい。
あなた
えっと……どうやって持つんですか?
藤崎 瑞希
いい質問! まず、力を抜いて。スティックは"握る"んじゃなくて、"支える"イメージで
瑞希先輩は自分のスティックを軽く持ち上げ、指先で器用に転がして見せた。
藤崎 瑞希
こうすると、手首のスナップを使いやすくなるんだよ
私は言われた通りにスティックを持ち直してみる。
藤崎 瑞希
それで、最初はこのリズムで叩いてみて
瑞希先輩は口で**「タン、タン、タタタン」**とリズムを刻みながら、ゆっくりとスネアを叩いた。

私は少し緊張しながら、それを真似するようにスティックを振り下ろした。

タン、タン、タタタン——
藤崎 瑞希
おっ、いいじゃん!
瑞希先輩がにこっと笑う。
藤崎 瑞希
でも、ちょっと力んでるかな。もっとリラックスして。打楽器は力を込めて叩くんじゃなくて、スティックの跳ね返りを使うのがポイントだよ
あなた
跳ね返り……?
藤崎 瑞希
そうそう。ほら、スティックを落とすだけでも、自然と跳ねるでしょ?
瑞希先輩が見本を見せてくれる。確かに、スティックが太鼓の面に当たると、ふわっと跳ね返る。
藤崎 瑞希
この反動をうまく使えば、速いリズムも楽に叩けるようになるよ
私はもう一度試してみる。

タン、タン、タタタン——

今度は少しだけ、スティックの動きがスムーズになった気がした。
藤崎 瑞希
うん、いい感じ! センスあるかもね!
あなた
ほ、ほんとですか?
藤崎 瑞希
うん! よかったら、パーカッションパートに入らない?
あなた
えっ……!
突然の誘いに、心臓がドクンと跳ねる。
あなた
どうしよう……
私は玲奈のほうを見る。
宮村 玲奈
あなた ちゃん、やってみたら? なんか楽しそうに見えるよ!
玲奈はにこっと笑った。

たしかに、私は今、ワクワクしている。
あなた
じゃあ……やってみたいです!
藤崎 瑞希
よし、決まり!
瑞希先輩が嬉しそうに頷いた。

こうして私は、打楽器パートの一員になることを決めた。
翌日、私は入部届を手に、玲奈と一緒に音楽室へ向かった。
宮村 玲奈
いやー、あなたちゃんが打楽器やるって聞いたとき、ちょっとびっくりしたよ
あなた
え? なんで?
宮村 玲奈
なんか、もっとフルートとかクラリネットみたいな楽器を選びそうな雰囲気だったから
あなた
うーん、自分でもびっくりしてる。でも、打楽器ってすごく奥が深そうで、やってみたいって思ったんだよね
宮村 玲奈
ふふ、いいじゃん! 私はトランペットにしたよ!
あなた
玲奈らしいね!
そんな話をしているうちに、音楽室に到着した。

扉を開けると、すでに先輩たちが楽器を準備していた。
藤崎 瑞希
おっ、美咲ちゃん、入部届持ってきた?
瑞希先輩が手を振る。
あなた
はい! よろしくお願いします!
藤崎 瑞希
よーし、これで正式にパーカッションパートの仲間だね!
藤崎 瑞希
あなた ちゃん、いらっしゃい!
周りにいた他の打楽器メンバーも、次々に声をかけてくれる。
藤崎 瑞希
改めて、パーカッションパートのメンバーを紹介するね
瑞希先輩が指差したのは、短髪で元気そうな男子生徒だった。
藤崎 瑞希
この子は佐々木 駿。パートのムードメーカー!
佐々木 駿
おー、新入生? よろしくな!
あなた
よ、よろしくお願いします!
藤崎 瑞希
で、こっちは田中 優。マリンバとティンパニが得意
田中 優
よろしく、美咲ちゃん
あなた
よろしくお願いします!
藤崎 瑞希
まぁ、こんな感じのメンバーでやってるよ!
あなた
楽しそうなパートですね!
藤崎 瑞希
そうでしょ? うちはすごく仲良しだからね!
瑞希先輩の笑顔に、私は安心した。

——ここなら、きっと楽しくやっていける。

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