転校初日、奏は無機質な教室に足を踏み入れる。
どこにでもいる高校生のように振る舞おうとするが、
その背中に背負った小さなスネアドラムケースが、
彼女がただの「普通の生徒」ではないことを
物語っていた。
奏は打楽器の演奏で数々のコンクールに
出場した経験があった。しかし、前の学校で
起きたトラブルがきっかけで演奏することが怖くなり、
打楽器からも音楽からも離れていた。
その声に振り向くと、そこには爽やかな笑顔を
浮かべた少年がいた。彼こそ吹奏楽部の部長、
深山悠斗(みやま ゆうと)だった。
奏は断るつもりだった。
しかし、悠斗の情熱的な誘いに押され、
気がつけば放課後の音楽室に足を運んでいた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。