本文とは関係ありません。風和さんがポートマフィアを続けていた場合の、短編小説です。
或る日、写真機を買った。銀製の、所謂レトロカメラなるものである。安吾が持ってバーに来た時に一度、私と安吾と織田作で撮ったことがあり、カメラとはそれ以降離れていたが、ショーウィンドウのディスプレイに並んでいた物を見て、思わず購入した。何を撮るわけでも無いが、手始めにその店を撮る。青の木枠で縁どられたディスプレイと、薄黒く塗られた硝子が嵌め込まれたドア。石畳に1匹の黒猫が軽く伸びをしていた。
我ながら、上手く撮れているのではないかと思った。.....あなたに見せれば、喜ぶだろうか。自分で思うより浮かれているようで、帰路の足取りは軽かった。
あなたの部下だ。女性ばかりのあなたの部隊では珍しく男だが、何かと重宝していると話していた。この男がいるということは近くにあなたがいるのだろうか。
「わかりました」とだけ言って、その男は去って行く。辺りを見渡すと、あなたはまた別の部下__蒼凪と言ったか。彼女と話していた。
他の部下と話している時には中々見えないあなたの、何も取り繕うことの無い心からの笑顔。マフィアの大きな窓から差し込む光が雫を照らしていた
柄にもなく見蕩れていた。マフィアの幹部が聴いて呆れるが、綺麗だと思った。ずっと、見ていたいと思うほどに。咄嗟に私はカメラを構えた。するとあなたはこちらに気付き、一瞬、驚いた顔をしたあと、肩を竦めてピースをしてきた。
思わず笑ってしまった。まさかポーズを取ってくれると思わなかったから。......でも、先刻撮った店前の写真よりも、ずっとキラキラしていて、これ以上ない1枚が撮れていたように思う。
直ぐにプリントアウトされた白黒の写真を渡す。白黒でもはっきり分かるくらい笑顔が輝いていて素敵だ。
スーツの裾をぐいっと引っ張って掴まれる。「うまく撮れるかわかんないけど…」と言ってカメラを持ち、レンズを自分たちの方に向けて撮られた。
そこには、柔く笑うあなたと、なんとも言えない驚いた自分の顔が写っていた。微妙だなぁと思ったが、あなたは嬉しそうなため、良い事にする。
後日、あなたの部屋に行くと写真立ての中に私が撮ったあなたの写真と、2人で撮った写真が飾られていた。
この話を持ちまして完結となります。いいねやコメント、少しずつ増えるお気に入り登録が励みでした。長い長いお付き合い、誠にありがとうございました。250人を超える方に読んでもらえて幸せでした。
使い方がままなっていないのですが、いずれpixivなど他サイトにも綺麗に整理した文章で投稿してみたいなと考えています。またお会いできましたら、よろしくお願いします。
それでは、また。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!