そのあとの記憶は曖昧で、あまり覚えてない。
体と心が別々の行動をしているみたいな、、そんな感覚だった。
ハーマイオニーやハリー達に付き添ってもらいながら寮へ着くと、ロンがタオルを持って走ってきた。
そこまではなんとなく覚えている。
着替えるために1人、部屋に戻ってきた。
濡れたドラコのローブを握りしめて、ベッドに腰掛けた。
綺麗に使われたローブをじっと眺めながら、スリザリンのエンブレムをゆっくりとなぞった。
鼻の奥がツンとなり、視界が滲む。
ローブにポタポタと雫が落ちた。
髪から滴る雫なのか、
それとも涙なのか……
私の嗚咽が、静かな部屋に響いていた。
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しばらくするとハーマイオニーが、そっとドアを開け部屋に入ってきた。
泣きじゃくった私の顔を見て、眉を下げて優しく微笑んできた。
私の視界には、涙でいっぱいだった。
下を向いて必死に自分の思いを伝えると、ハーマイオニーは優しく手を握ってきた。
ドキッとした。
たしかに私が愛した男の子は、
そんなことで離れてしまうような人ではない。
何を今まで不安になってたんだろう。
「いつも支えられている」
と彼は私に言ってくるけど、支えられているのは私の方だ。
告白をしてきたときだって、
私は振られてしまうんじゃないかと思って、怖くて逃げようとした。
それでも彼は、逃げようともせず私と向き合おうとしてきた。
今こうして恋人として隣にいるのも、彼のおかげだと思う。
私は言葉の代わりに次々と出てくる涙のせいで、頷くことしかできなかった。
本当にハーマイオニーに助けられてばっかりだ。
今までたくさん背中を押してもらった。
親友の偉大さを改めて痛感させられる。
この子につらいことがあれば1番に助けにこよう。
側にいる。
そう心の中で呟き、ハーマイオニーを抱きしめた。
そう言いながらも、濡れてしまうことを気にせずに、抱きしめ返してくれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。