今日の一件を受け、奏雨は自分にも何かできるんじゃないかと期待の眼差しを黒に向けた。
そう前置きした後、黒は尋ねた。
その問いに対し、奏雨は少し怖気付きつつも、小さく首を縦に振った。
それは、数日前、だいたい一週間前くらいのことだった。
その日の昼休み、御霊は1人で適当に本でも読みながら時間を潰していたらしい。
そんな時、事件は起こった。
唐突に彼は頭痛に襲われた。
さらには胸まで苦しくなってくる。
そのまま彼はバタンッと椅子から転げ落ちた。
流石にその物音にはクラス中が反応した。
しかし、誰も彼を助けようとはしなかった。
痛みと苦しみに悶える彼だったが、誰も彼に話しかけようとはしなかった。
そのクラスの担任教師曰く、御霊自身、仲のいい友達が全くいなかったという訳ではないらしいが、その日、その生徒は諸事情で休んでいたようだった。
結局、誰の助けも得られぬまま、彼は1人教室の隅で苦しんでいた。
そして、ついには意識さえも失ってしまった。
教室が静かになると、御霊に気を取られていた生徒たちは再び友人らと会話を始めた。
事件が起こったのはその後のことだった。
次の瞬間、音も無くそいつは立ち上がった。
目撃者曰く、その姿形は教室の天井に届くほどの巨大な骸骨の化け物だったらしい。
そいつは、右手に持ったその鎌の一振りで、その場にいた生徒全員を切り裂き、教室全体を血に染めた。
全てを話し終えた黒はそう言うと小さく息を吐いた。
その話を聞き、奏雨は少し怯えていた。
そう何かを言おうとする奏雨を遮るように黒は言った。
てっきり1人くらい殺してしまったのかと早とちりしてしまった奏雨は、犠牲者がいないことに安堵しつつも、無事だったと言う事実に少し拍子抜けしてしまった。
少し困惑しつつも、奏雨はそう言った。
それに対し、黒は答える。
2人揃って訳がわからなかった。
そして、話は再び元に戻る。
黒の説明を聞き、少し納得したように、しかしどこか悔しそうに奏雨は言った。
それから、黒の方を向き、尋ねる。
予想よりも、御霊の悩みが重かったので、奏雨はこれからどう関わっていけばいいのか、それに悩んでしまっていた。
少し自信はなかったが、奏雨はできるだけさっきの話については考えないことにした。
御霊の過去について断片的に知っている黒。
その断片的な話を聞かされた奏雨。
そもそも色々と知っていそうなルーツ。
なーんにも知らない弥生。
転入生追加までのメンバーだと、こんな感じ……いいね。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!