第5話

4話 : 聴こえない日
12
2025/11/14 08:00 更新



蒼くんは学校に来なかった。

朝、席が空いてるのを見て、胸のあたりがふっと重くなった。

春音はるね
(蒼くん、休みなのかな...?)



別になんでもないように見せたけど、休み時間の度につい隣を見てしまう。

ノートを開いても、文字がうまく頭に入らない。


窓の外では雨が降っていて、グランドには水たまりが広がっていた。


放課後になっても蒼くんは来なかった。

図書室に行ってみたけど、あの窓側の席は空っぽだった。


春音は本を開いたまま、何度もページをめくっては戻して、同じページをみていた。

静かすぎて、時計の音ばかり耳に入る。

春音はるね
(音がない...)



ふとそう思った。

蒼くんと一緒に聴いた音楽。

いつもは流れているはずなのに、今日はなにも聴こえなかった。


帰り道。

傘から落ちる水滴の音だけが響いていた。

家までの道がなんだか長く感じた。


スマホを取り出して、プレイリストを開く。

蒼くんと一緒に聴いた曲をタップする。

イヤホンを "片耳だけ" いれて歩く。


でも、なんか違った。


同じ曲なのに、音が少し遠く感じた。

春音はるね
なんでだろう.....



春音は思わずつぶやいた。

その声は雨に消えていった。


明日は会えるかな...。

そんなことを考えながら、春音は家のドアを開けた。


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