あの日からもうすぐ2週間が経とうとしていた日
社内で事件が起きた
プレゼンで使うはずだったデータやら資料が何者かによってなくなっていたらしい
社内中は大騒ぎをしてる
怒りで罵声をあげる上司がいれば、うわさ話をこそこそと言い合う女性社員がいた
その女性社員たちにターゲットにされているのは最近入ったばかりの新人さんだった
こそこそと噂をたてられて新人さんはカタカタと震えながら身を小さくしている
私個人の意見だと、多分あの人はやっていない
根拠はなにもないけれど、あんなに弱々しい新人さんに会社の資料を盗むのは無理だと思う
絶望のあまり部長が頭を抱えて病んでいる
社内がパニックになっている中、1人の男性が声をあげた
うらたさんだった。
うらたさんは声をあげただけではなく、噂をたてられていた新人さんをかばうようにして言った
その姿は絶望しきっている私たちが見ると勇者にしか見えない
うらたさんの言葉に何人かの社員たちがくらいつく
うらたさんはきっぱりと言った
真っ直ぐな眼差しでくらいついてきた人たちを睨んだ
するとその人たちは図星だったのかうらたさんから目をそらして自分の机に戻っていく
私はついそんなことを思ってしまった
かっこいいと思うと同時に綺麗とも思った
1人であの場をおさめていたうらたさんはとても輝いていてキラキラしていた
エリートって言うのはあの人みたいな人なんだとつくづく思う
私はうらたさんの指示に従って素早く行動した
そしてみんなが協力したお陰かプレゼンになんとか間に合って完成した
プレゼンは成功
社内の危機はうらたさんのお陰で免れた
そんなことを思いつつ私は疲れきったうらたさんの机にカフェオレをメモと一緒に置いておいた
本人は社員たちに「ありがとうありがとう!」とお礼を言われて囲まれている
社内がうらたさんで盛り上がっている中、私はそれを横にさり気なく会社を出て行った












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。