俺は今日初めての撮影に行く。なぜこうなったかは俺にもわからねぇ。くるみとかいう野郎、絶対に許さねえ。
隣を歩くのはイカガールだ。俺の先輩にして、今日の撮影を共にする奴。
はっきり言って距離感がわからん。馴れ馴れしいというかなんというか....
きっと、気のせいだ。
だって、俺が最後にガールと会ったのは。
ここでまた「アイツ」に会えるなんてそんなウマのいい話があるわけがない。
そんなことを考えているうちに撮影場所に着いてしまった。
ガールと別れ、小物を受け取りに行く。
さまざまなスタッフが入り乱れる中、俺は指定されたイカを見つけ、撮影に必要な武器などを受け取った。
連射も遅いし足も遅い。おまけに武器自体重い。
まるで、何もかも掴み損ねた俺を表しているかのようで嫌いだ。
くそ、とっとと終わらせて帰りたい。
そう思いながら俺はガールの到着を待っていた。
私は撮影に必要な武器を受け取った。
形状は弓、というものだろうか。
スプラチャージャー。私の持ち武器で、希望で、そして因縁でもある武器。
私を私にしているものでもある。
すっと、表面を撫でる。
新しいもの特有の手触り。
そんなことを考えていると、
「あの、!撮影時間になりますよ!」
とスタッフの呼び出しがかかった
そう返事をし、一旦思考をやめて撮影場所へ向かった。
やっと終わりやがった。少し撮影しただけなのに疲労が溜まる。
にしても、今回は本当にすぐ終わった。リテイクも少なく、「先輩」であるイカガールの技量がどれほどのものかが窺える。
このあとは撮影の予定もなく、フリーだ。
これから、何をしようか。
急になんなんだ、コイツ。会ったばかりのやつとバトルに行くとか、それこそバトルであった奴とぐらいだろ。
面倒なことになった。第一、弱えぇ奴と一緒にやってもレート下がるだけでおもんない。
だからこそ、これはきっと気の迷いだ。
全く、バトルできるだけで喜ぶとか...
なぜかわだかまる心には蓋をして、俺はガールとバトルをしに行った。
更衣室。俺のロッカーにはバトル用のフィレジャケットと、スパッタリーがいつもの如く置いてある。
もちろん、レートが低かろうが容赦はしない。
さっと服を着替え、スパッタリーを手にする。
からん、とスパッタリーに付けていたストラップの飾りが音を立てる。
俺は友をー、親友を思い浮かべながらロビーへ向かった。
私は服を着替えながら、わらびもち君のことを考える。
やっぱり、以前どこかで出会った気がする。
雰囲気が、記憶の彼方にあるあの子と似てるようなー
そしていつもの、ずいぶん使い込まれているスプラチャージャーを取り出す。
もうすぐこの子が使えないとなると、とても寂しい。
だってこれは、「師匠」からもらった大切なものだから。
そんなことを考えながら、わらびもち君が待っているであろうロビーに向かった。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。