第29話

29.
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2023/02/28 23:43


あなたを保健室のベッドに寝かせ、

俺は、

その横に椅子を置き、座った。


あなた「おなか、すいてないん?」
駿佑「大丈夫。」
あなた「戻って、いいよ、」
駿佑「ちょっとここいるよ、」
あなた「…うん、」


何してるんやろ。


学校で、

あんな目立つところで。




でも、

気付いたらああしてた。







あなた「大丈夫なん、」
駿佑「ん?」
あなた「女の子、叫んでた」
駿佑「…やばいやんな、」
あなた「人助け、って、許されるかな」
駿佑「ごめんな、なんか、あなたにも迷惑かけるかも」
あなた「ううん、…助けてほしかった、だから、よかった。しゅんが、助けてくれて、嬉しかった。」


あなたは少し恥ずかしかったのか、


布団を深くかぶった。

駿佑「まだしんどい?」
あなた「気持ち悪い、」
駿佑「そっか…」
あなた「さっき、怒られちゃった、」
駿佑「え?」
あなた「授業中、寝ちゃって、」
駿佑「仕方ないやろ、疲れてるもん、」
あなた「それでもちゃんとやってる人もおる、って、」
駿佑「理解ある先生ばっかりやのに、珍しいな。」
あなた「わたしが悪いのはわかるけど、…ちょっと嫌やった」
駿佑「気にすることないよ。」


布団から覗く小さな手を、


俺はそっと包み込んだ。


あなた「手、冷たいな」
駿佑「あ、ごめん…」
あなた「冷たくて、きもちい、」

あなたは小さな手で、

俺の手を握った。






駿佑「ちょっと身体熱いんちゃう、?」
あなた「さっきまで寝とったからかな、」


あなたは、布団から顔を出して、

俺をじっと見た。






駿佑「ん?」
あなた「何もないよ、」


少し赤くなった頬をそっと撫でると、


あなたはゆっくり目を閉じた。



 


駿佑「おやすみ」





俺は、あなたにそっとキスをした。


ほとんど無意識やった。



あなたの目が開き、咄嗟に離れた。




駿佑「ごめん、つい、」


あなた「学校…やで、?」
駿佑「ほんまごめん、…あかんな、あなたとおると、なんか、あかんわ。…ほんまごめん、戻るな、」
あなた「待って、!」



あなたはベッドから起き上がり、

腕を伸ばして、

俺の制服の裾をぎゅっと掴んだ。









あなた「いやや、」
駿佑「…どうしたん、?」
あなた「ここきて、」


ベッドの上に乗ると、

あなたは俺の肩にちょこんとおでこをつけた。




あなた「行かんといて、」
駿佑「うん、行かへん。」


これでいいん?






あなた「もう一回、して、」
駿佑「うん。」



唇がふれあう。



あなたは俺の胸に顔を埋め、


そのまま眠りについた。





なぁ、あなたは俺のことどう思ってるん?


このままずっと、

2人きりでおれたらいいのに。

…こんなこと思って、

アイドル失格やな。




いや、

とっくの前からもう、


アイドル失格や。







駿佑「大好きやで、あなた」








俺はもう、

あなたしか見えへん。







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