学校が終わって連絡を入れようとすると外に高級車が止まってるのが見えた。誰かの保護者かと思ったけど、春千夜さんから「学校の前に車停めてるから」と連絡が入った。
「春千夜さん、迎えに来なくていいのに……」
「迷子になんだろ」
「なんないよ、来たら目立つから……」
「嫌がらせに毎日来てやるよ」
「迷惑だなぁ……」
そのままビルに連れていかれて、バイトについて説明された。紙に手書きで書かれた名前をパソコンに打ち込むことと部屋の掃除だけでいいらしい。それだけで部屋を貸してもらえてバイト代まで出してもらえるなんて怖すぎる。
「変な仕事ですか、これ」
「しらねー」
「えっ、知らないって何」
「まぁいいじゃん、楽して金もらえんならさ」
「怖い何それ……それで他に社員いないんですか」
「みんなやめた」
「なんで」
「なんか俺がこえーとかなんとか」
「パワハラでもしてたの」
「そーゆーつもりねぇけど」
「パワハラする人大抵無自覚だから」
「してねぇって、仮にしてたとしてもお前にはしねぇから安心しろ」
「なんで」
「ガキだから、言うだけ無駄」
「……感じ悪、そーゆーのもダメでしょ」
「今更だろ」
パソコンに本棚にソファなどがあって、見た目はただの事務所って感じ。誰もいないから怖いけど。
パソコンの前に座ってさっき言われた通りに作業する。
「この名前ってお客さんですか」
「まぁ、そんなもん」
「……ずっとそこにいるの」
「見張ってなきゃなんねーだろ」
「そう……」
カタカタとキーボードを叩き、すぐに入力が終わった。それを伝えるともう今日は仕事がないみたいで帰ることになった。この仕事本当に私がやる意味はあるのか。
「今日のバイト代」
「ありがとう」
「中確認しろよ」
「…………間違ってるよ」
「あ?足りねぇの」
「違う多すぎ、こんなんで10万ももらえないでしょ……使い道ないし……」
「昼飯代とか、色々あんだろ。もらえるもんはもらっとけよ」
「やっぱやばい仕事なんだ、これ……」
封筒の中のお金が怖くなって少しだけ震えた。元から変な人だと思ってたけど、本当に大丈夫なのかな。殺されたり事件に巻き込まれたらどうしよう。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!