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第7話

夜の海で2人
    今日は、星がよく見える。海に言われて、8時に海の家に来た。
    海はもう、外で待っていた。
海さん!ごめん、待った?中で待っていてくれても良かったのに
    半袖の白いワンピース姿の海が扉の前で立っていた。珍しく、長い黒い髪を纏めていて白いうなじが露わになる。
待っていない。今さっき、出て来たところ
そっか。それで、花火どこでやろうか?
浜辺なら大丈夫だと思う
じゃあ、行こうか
    俺は、手を海に差し出す。
え?
暗いし、転んだら大変だから
だ、大丈夫!一人で歩けるから!
    海が足早に俺の横を歩き去って行く。
海さん……?
    何だか腑に落ちない。 



    海の夜に光が二つ。
綺麗。こんなに近くで火を見るのなんて初めて
うん。綺麗だね
    シュウーっと音をさせながら、火が消える。
はい、次の
    新しい花火を海に手渡す。俺は、花火に火をつける。
    赤っぽい火が噴き出す。
火、もらうね
    海の花火に火が移る。
海さん、次は何がしたい?
……海。なんだか、湊にさん付けされるの悲しい
え、ごめん。嫌がっているの気付かなかった……
    俺は海が嫌がることをして、また海を困らせていたのか。
違うの!嫌じゃなくて、距離があるようで寂しい気がする……
    海。こんなに、人の名前を呼ぶだけで緊張するものなのか?
海、今度は何したい?
そうね。やりたいことは沢山あるわ。例えば、湊の学校にも行ってみたい
俺の高校?どうして?楽しくなんかないよ?
昨日、湊は私の世界を知ったって言ってたでしょ?なら、私も湊の見ている世界を知りたいの
それは、俺に興味を持ってくれたってこと?
    期待してはいけないとは思っていても、してしまう。
そうなのかもしれない……
    もしかして、海は……
あ、消えちゃった
    二人の花火の火が消えていく。
これで最後だね
なにこれ?さっきまでのと少し違う
これは、線香花火っていうんだ。先っぽに火をつけて、火玉を落とさないようにするんだ
へー面白いのね!
どっちが長く保つか勝負しよ?
いいよ
負けたら、勝った方の言うことを聴くっていうのはどう?
    海が少し笑みを浮かべる。
湊はいつも、私の我儘聴いてくれているじゃない
いいから。やろ?
    俺は、線香花火を海に手渡す。
    二本の線香花火に火が着いた。
    海の眉間に皺が寄る。とても、真剣な表情だ。
あ、ちょっと、まって、頑張って!
    海が線香花火を応援している。笑い出しそうになるのを堪える。
だめ、落ちないで、あー!
    海の火の玉が落ちた。
俺の勝ちだね
    海が肩を落とす。
どうして、湊はそんなに長く保つの?
うーん。コツがあるんだよね
ズルい!先に教えてよ!
ごめん。でも、勝負だからね
次は絶対に負けないんだからね!
    次があることが少し嬉しかった。
じゃあ、まずは俺のいうことを聴いてくれる?
しょうがないわね。何?
帰りは、手を繋いで帰ろう?
    海が少し戸惑ったような表情をした。
海?いや?嫌なら、無理しなくてもいいけど
……大丈夫。勝負だから




右手にバケツ。左手に海の手。
明日もまた、来るね
うん。待ってる
    海の家の前に着く。
じゃあ、また明日
    俺は手を離そうとした。
海?どうしたの?
    海が俺の手を離そうとしない。
あ、ごめん。なんでもないの。おやすみなさい
    海が急いで俺の手を離した。
あ、うん。おやすみ
    海は俺の顔を見ないように、家に入ってしまった。
もしかして、そんなに手を繋ぐのが嫌だったのか?