前の話
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突如聞こえてきたその言葉はいつも明るい弟の声ではなかった、、
こんなこと言う親じゃない、、
俺はそう思っていた。
いつもバカやってみんなで電子レンジ壊したり料理を失敗して笑いあったり、、、
そんな家庭だと思っていた、、
のどの渇きが一瞬で消えたとともに、、眠気も飛んだ、、
たしかこれは俺が小学5年生、、、
そう。今のほとけとおんなじ年齢だったと思う。
その時初めてみんなが親のことをきらーいとかやだーとか言っていたことを思い出した、、、
いっつも親は何をしても怒らなかった。
みんなならえっ!とかいう、、
ものをこわす
人を殴る
学校をさぼる
宿題をしない
こんなことをしても怒らなかった。
多分記憶にある限り怒ったのは、、俺が海で一人遠くに行こうとしていた時と、海外で迷子になって知らない人についていこうとした時だ。
それ以外、怒っているのを見たことがない
その他はあんまり覚えてないがこの時母が言った言葉だけは鮮明に覚えてる、、
いや、、もう‶母”とは言えないのかもしれない、、
僕が人生で多分一生のうちに一番聞きたくなくて、もう二度と聞くことのないことばだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。