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第19話

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2026/02/28 16:24 更新
 「ディナーでもいかがですか」とお誘いを受け、近場のレストランに入る。キラキラと輝くビルの群れを臨む窓辺の席に座った。
 メニューを見てみたが、何が何だかわからないので彼が注文した物と同じ物を頼む。

 料理の待ち時間、隼人さんは徐に口を開いた。
kgm
そういえば何故指輪はあれがよかったんですか?
……なんででしょう
 四葉のクローバー。
 幼い時、家の近くの林に生い茂るクローバーの中を血眼になって探したっけ。

 漸く見つけたそれを薬指に不器用ながらくくりつけてくれたあの人は__
kgm
あなたさん、大丈夫ですか?
 隼人さんの声にふっと現実に戻される。目の前にはキラキラした料理とワイングラスが既に並んでいた。
す、すみません……!
kgm
あははっ、何か悩み事ですか?
 こてん、と首を傾げる隼人さん。狡い、本当に狡い。

 顔を赤くしていると、隼人さんが「あ」と声を漏らした。
kgm
あなたさん、お手を拝借しても?
……え?はい
恐る恐る差し出すと、骨ばった手が私を包み込んだ。暖かくて、どこか懐かしいような、そんな__

ふと、冷たい感触がする。視線を下ろした。
薬指に先程買ってもらった指輪が嵌っている。
kgm
ふふ、矢張りお似合いです。
 したり顔の彼は満足そうに頷いて、私の手を離した。ありがとうございます、と呟いてみて冷たい指輪より彼の手が名残惜しい事に気づく。
……どうしちゃったんだ、私。

思いを紛らわすように、私は明るく努めながら口を開いた。
隼人さんはつけないんですか?指輪
kgm
え?ま、まぁ家かどこかで__
貸してください、隼人さんの手と指輪
kgm
え?ちょ、ちょっとあなたさん……‼︎
 慌てる隼人さんの手を半ば強引に取って、指輪を嵌めた。骨ばっていると思っていたけれど、案外華奢な指をしている。
 薬指の指輪は、眩いばかりに輝いていた。
kgm
……ははは!!本当に愉快だな貴方は
 彼はレストランには似つかわない豪快な笑い声を響かせた。ハッとなって思わず手を離す。
(またやらかした……)
 今日は頭が回っていない。二日酔いか、彼の貸してくれたシャツのせいか、それともこの指輪のせいか、何かのせいにしてしまいたいと思っている私のせいなことは明瞭だった。

 思わず俯いていると、隼人さんの手がこちらに伸びてきてするりと私の手を掬った。
 白くて大きくて、優しい手。矢張りいつかどこかで__
kgm
お揃いですね?
……え?
kgm
わたくしと、貴方
 その慈愛によく似た表情に、心臓が飛び跳ねる。此方を見据える琥珀色の瞳は変わらず微笑を湛えていた。
……婚約指輪とはそういう物ですから
 平静を保ちつつそう呟く。彼は少し驚いた顔をした後、ぷはっと笑って、また元の微笑みに戻っていく。
kgm
何もかもお揃いだったら幸せでしょうね
 彼のその言葉の真意を確かめようと口を開くと、からは矢継ぎ早に「頂きましょう」とディナーを指し示した、

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