第13話

地獄炎
285
2025/11/11 13:43 更新
(なまえ)
あなた
エマ学園長が…俺の母親?
???
そんなはずないニャーッ!
ふいに横…というより、足元の方から声がして見下ろすと、そこには見たことのある赤い猫妖怪がいた。剣豪紅丸へ身を乗り出して、2本の尻尾の先にあるエメラルドの火の玉が揺れる。
(なまえ)
あなた
じ…ジバニャン!?
ジバニャン
ニャッ!久しぶりにゃ、あなた!
ジバニャンが振り返って片手をビシッと上げる。
???
おっと、俺もいるぜ、あなた
今度はジバニャンとは反対側の斜め上の方から声がした。
大きな槍を持ち、フサフサの白髪に褐色肌のソイツは、にやりとこちらを見て笑っていた。
(なまえ)
あなた
びゃ、白虎まで!?
白虎
よっ!元気してたか?
白虎
て、そんなことよりだな、今は
そう言うと、白虎はズカズカと俺の前に出た。
2匹の妖怪が俺を庇うように前に出て立ちはだかる。
白虎
俺も、エマとかいうやつが
こいつの母親だって思えねぇ!
ジバニャン
そうニャ!
第一、オレっちジンペイが事故に遭ってからずっとあなたのそばにいたニャンけど、フブキはずっとあなたと一緒にいたし……絶対何かの間違いニャン!
白虎
俺もだ
ジンペイが事故に遭ってあなたが妖能力に覚醒した時からずっと見守ってきた!
白虎
テメェ、つまんねぇ嘘ついて
何の企みだ!?
剣豪紅丸
剣豪紅丸
企みも何も、我は事実を言っているのみだ
剣豪紅丸
剣豪紅丸
まぁ良い、
いずれ本当の真実を知る時が来るだろう
目の前に急に煙が立ち込めだし、紅丸と俺達3人の間を濃い霧が遮る。だんだん紅丸の姿が見えなくなっていく。
剣豪紅丸
剣豪紅丸
お前達が思っている以上に
事は膨大であり複雑だ
剣豪紅丸
剣豪紅丸
慎重に事を進めるが良い
そう言うと、紅丸はコツコツとスニーカーの底を地につけて足音を鳴らしながら、霧の向こうに消えていった。
白虎
……時間だ
(なまえ)
あなた
一体、裏で何が起こってるんだろう…?
ジバニャン
あなた!紅丸あいつの言うことなんか
信じるな!ニャン!!
(なまえ)
あなた
そ、それもそうだね…
(なまえ)
あなた
ありがとう、2人とも…!
じゃあ、またね!
白虎
おう!
ジバニャン
バイにゃー!














(なまえ)
あなた
う…お、俺…
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
あら、起きましたか〜
(なまえ)
あなた
うおっ!?
横になって寝そべっていた体を起こし、座ったまま高速で後退りする。
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
そんなに怖がらなくても
いいじゃないでウィスか〜
(なまえ)
あなた
ち、近くに不気味な顔がありゃあ
誰でも驚きますよ!!
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
ぶっ、ブキミィ!?
臼見沢先生がのけぞったかと思うと、その場に三角座りでしゃがみ込み、どんよりと落ち込む。
(なまえ)
あなた
あ、そういえば、臼見沢先生にちょっと聞きたいことがあるんすけど…
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
ほう、何でしょう?
(なまえ)
あなた
えっと、実は俺、この爪痕に触ってから剣豪紅丸に会って…それで、俺はエマ学園長の息子だって言われたんですけど、何か知ってますか?
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
ほう、剣豪紅丸の思念がそんなことを…
臼見沢先生が右手を顎に添えてなにやら考えているような仕草をする。
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
はっきり言って、100パーありえませんね
(なまえ)
あなた
そうなの!?
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
ウィス
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
もし君がエマ学園長のご子息なら、「地獄炎じごくえん」が使えるはずですから
(なまえ)
あなた
じごくえん?
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
はい、大王寺の血筋を引くものに与えられる特殊なYSP能力で、地獄由来の炎が自由自在に使えるのです
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
その七色に輝く炎は何人なんぴとも消すことができぬ不滅のものとして、全YSP能力者から崇められているのでウィス
(なまえ)
あなた
なるほど、でも俺の使う炎の妖術はすぐ消えちゃうから…
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
ええ、ですから
エマ学園長のご子息ではない、と
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
第一、エマ学園長にはもう息子の閻魔くんがいらっしゃいますしね
(なまえ)
あなた
たしかに…じゃあ、何で紅丸はあんな嘘を…
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
まあまあ、とりあえず事件の真相は知れたのでしょう?それだけでも君にとっては大収穫のはずです
臼見沢ハルヒコ
臼見沢ハルヒコ
ささ、皆さんの元へ戻りましょう
臼見沢先生が人差し指で地面に丸を書いた途端、サークルのようなものが出てくる。俺はその上に臼見沢先生と共に乗った。ぱちんと先生が指を鳴らすと、サークルがキラキラと光りだした。
剣豪紅丸の爪痕を見つめながら、さっき言っていた彼の言葉を思い出す。
『お前達が思っている以上に、事は膨大であり複雑だ』
今回のIKUSAは何かとんでもないことが起きるかもしれない。猫の直感か、俺はそう思った。

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