作業を終わらせ、時計を見ると18時を指していた。
やべ。昼食、食べてないや。そりゃあ、お腹もすく。
部屋から出ると、ちょうどまふが
夕食の準備に取りかかるところで、
「何作るの?」って聞いたら、
パエリア、アボカドサラダ、
サケのムニエル、ミネストローネ、だってさ。
おしゃれだなぁ、俺には無理。
鼻唄を歌いつつ楽しそうに料理をするまふを眺めながら
俺は幸せ者だなぁ。なんて思う。本当、心から思うよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エプロン姿のまふが大声で言うので
料理をとりにキッチンへ。
テーブルに並べて、向かい合うように席に着き、
いただきます。と、手を合わせて夕食をいただく。
あ、美味い。俺も料理のレパートリー増やそうかなぁ。
まふが「美味しい」って笑う顔好きだし。
何より、まふのことは俺が笑顔にしたい。
一時、まふがストーカー被害や暴行被害に遭った。
当時知り合い程度だった俺にも分かるくらい
まふは笑わなくなっていって
腕や足に傷が増え、
まるで枯れ木のようになっていた。
もう、あんなまふはみたくないよ。
だから俺のエゴだとしても、
それでもまふには笑顔でいて欲しい、
そう思う強い気持ちが俺の中にずっとあるのだ。
ごちそうさま、と、手を合わせて言い、
食器の片付けをする。夕食は洗い物が少々多いので
食洗機にそのままつっこみ、スイッチをポチリと。
あれだ、技術の進歩って凄いよな。
技術者達にマジ感謝_(..)_
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。