隠してたってことは、見られなくなかったんだもんね…
私は彼の声など全く聞こえていなかった。
私は彼にそうジェスチャーをして、
店の奥に物を取りに行った。
(店の奥→家)
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私は家から取ってきた鏡とマスクを彼に差し出した。
私はカウンターからチラシを1枚とって、その裏に
『鏡を見て必要だったらマスクを使って』と書いた。
うん。流石私
と思いつつ、それを彼に見せる
そう言いながら彼は鏡を覗き
しばらくしてから、慌てて口元をタオルで隠した。
すごく気まずそうに言う彼。
私はそんな風に一切思わなかった。
彼は言葉遣いがどこか温かくて、言葉を話さない私に疑問を持つはずなのに何も聞かずに普通に接してくれた。
まぁ、店員と客。という関係だからかもだけど…
私は声で伝えれないから。
字と動きでめいいっぱい否定した。
そしたら彼はケラケラと笑い出してしまった。
彼はそう言っている間もずっと笑っていて、つられて私も笑みをこぼしてしまった。
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いつの間にか雨は止んでおり、空にぱあっと明るい光が一筋ささっていた。
ぺこりとお辞儀をされて、私もつられてぺこり。
カラン
彼はドアノブに手をかけた状態でこちらを向いて、
こう言った。
さっきの笑みとは違った、ふわっとした温かさでいっぱいな笑みを浮かべて。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。