何かを閃いたのだろうか、太宰が声を上げる。
コツ、と太宰が此方に近づいてくる。
そして、私達のテーブルに置かれている
綺麗になった食器を太宰が確認していた。
今は一緒に居たい、と云う気持ちが強い。
でも、此れ以上一緒に居たら私が知らない自分になってしまいそうで、怖い。
太宰はお昼を食べていないと云っていたが
頼んだのは珈琲一杯だけだった。
そう云っていたけれど、本当はお腹なんか空いていなくて
ただ、女給さんを口説きに来ただけ、なんて最低な思考が巡る。
だって、昔は「食事なんて面倒」って云っていたし...。
敦君は落ち着き無く、トイレの方へ行ってしまった。
嘘。こんなの建前。
一瞬、連絡しようか迷った。けど。
断られたらどうしよう...なんて被害妄想が頭の中でぐるぐると渦巻いていて。
打ちかけていた文字を長押しで全部消してしまった。
偶に、太宰は全部を見透かしたような瞳をする。
今だって、私を見据える瞳が「全部判ッてるぞ」
と問いかけてきそうだ。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。