フョードル・ドストエフスキーの話
バットエンド
夢主亡くなる
紅く染まった服の上からお腹を抑えた
壁に背中を預けその場に座り込む
目の前には純粋な少女の血で染まった小さな刃を握った男が
濁った水溜りに倒れている
こんな小さな モノ で人間はこわれてしまうのか
あゝ…穢れていくのがわかる
私はなぜ彼を信じたのだろう
彼を信じてはいけなかった
そんなことはわかりきっていたはずなのに
あゝ…
私は彼の…
『信じていいよ』
この一言を待っていたんだ
私の心のキズに追い討ちをかけるかのように
大粒の雫がこぼれる
そんな時,手を差し伸べてくれた彼
私は彼の手をとった
彼は皆と違って私の”コト”を見捨てなかった
彼は皆と違い私の”コト”をしっかり見てくれた
でも
皆と同じで”私”を見てくれることはなかった
彼に”愛”を求めたことが間違いだったんだ
あゝ…
一度でいいから”私”をみて
あゝ 愛おしい
友情,愛情,信頼,生命… 儚いから美しく愛おしい
なら私も美しくあろう
この一輪のハナミズキのように儚く,そして……
運命が私たちに執行猶予を与えてくれた時,もう一度貴方を
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。