放課後の魔都・ヨコハマ。
赤く沈む空の下、シグマは嫌な胸騒ぎを覚えていた。
最近、怪物の出現が増えている。
しかも――どれも、人の形をどこか残したような、歪な存在ばかりだ。
鳩の姿をした妖精は、羽を逆立てて首を振る。
その言葉どおりだった。
突如、路地の奥から現れたのは、異様な集団。
揃いのローブに、虚ろな目。
彼らは口々に同じ名を唱えていた。
次の瞬間、祈りは叫びに変わり、
人ならざる怪物が生まれ落ちる。
ニコライが笑って構え、
シグマも必死に変身する。
戦いは、これまでよりも苦しかった。
怪物はただ暴れるのではない。
まるで“使命”を帯びているかのように、執拗に向かってくる。
その時――
低く、かすれた声。
振り向くと、フョードルが立ち尽くしていた。
俯き、服の裾を強く掴む指。
血の気が引き、白くなるほどに力がこもっている。
彼は答えない。
肩が、わずかに震えている。
敬語は保たれている。
だが声は、明らかに揺れていた。
怪物が倒れ、教徒たちは霧のように消える。
路地には、沈黙だけが残った。
シグマの問いに、フョードルは一瞬だけ目を閉じる。
ピッピが鋭く鳴く。
フョードルは息が荒れるほど震えていた
誰も、軽口を叩けなかった。
ニコライですら、静かにフョードルを見つめている。
夕闇の中、
魔都・ヨコハマに、新たな敵の影が落ちた。
そしてフョードルは、誰にも聞こえないほど小さく、呟いた。
おまけ☆
移動教室。
三年生の廊下。
――三年生が絶賛喧嘩中。
その横を通ろうとした瞬間。
ゴンッ。
少し小柄な先輩の肩が、
シグマの肩にぶつかる。
一瞬、時間が止まった。
先輩はゆっくりシグマを見る。
もう一人の少し背丈大きい先輩が鼻で笑った。
その先輩は、にこりと笑って、シグマの耳元へ近づいた。
――なぜか、シグマの背中に冷や汗。
何も知らないふりをして、
二人の先輩はまた言い争いながら去っていった。
廊下には、
不穏な余韻だけが残った。
次回予告
番外編
「消えない手の温度」
守るためだった。
選択肢は、他になかった。
それでも――
シグマの手には、確かに残っている。
倒したはずの敵の言葉。
人だったという事実。
夜になるたび、胸に広がる重たい影。
「……私は、本当に“正しかった”のか?」
答えを出せないまま、
魔法少年は再び戦場へ向かう。
そこに待つのは、
救いか、それともさらなる罪か。
次回も、
罪を抱えて―――変身!☆
作者です
あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いします
今日は元旦ということでスペシャル企画で何話か更新いたします
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!