第9話

静かに広がる、白い信仰
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2025/12/31 23:40 更新
放課後の魔都・ヨコハマ。
赤く沈む空の下、シグマは嫌な胸騒ぎを覚えていた。

最近、怪物の出現が増えている。
しかも――どれも、人の形をどこか残したような、歪な存在ばかりだ。
シグマ
……ポッポ、何か分かるか?
鳩の姿をした妖精は、羽を逆立てて首を振る。
ポッポ
イヤな気配ポ。祈りの匂いがするポ!
フョードル
祈り…ですか……
その言葉どおりだった。

突如、路地の奥から現れたのは、異様な集団。
揃いのローブに、虚ろな目。
彼らは口々に同じ名を唱えていた。
ウスユキ様のために
目覚めの時は近い
捧げよ、捧げよ――
次の瞬間、祈りは叫びに変わり、
人ならざる怪物が生まれ落ちる。
ニコライ
来るよ!シグマ君
シグマ
言われなくともわかっている!!
ニコライが笑って構え、
シグマも必死に変身する。

戦いは、これまでよりも苦しかった。
怪物はただ暴れるのではない。
まるで“使命”を帯びているかのように、執拗に向かってくる。

その時――
フョードル
……ウスユキ、様……?
低く、かすれた声。

振り向くと、フョードルが立ち尽くしていた。
俯き、服の裾を強く掴む指。
血の気が引き、白くなるほどに力がこもっている。
シグマ
フョードル……?
彼は答えない。
肩が、わずかに震えている。
フョードル
……その名を、二度と聞くとは思いませんでした
フョードル
……………ま、…さか…
敬語は保たれている。
だが声は、明らかに揺れていた。

怪物が倒れ、教徒たちは霧のように消える。
路地には、沈黙だけが残った。
シグマ
なんだ、知ってるのか?
シグマの問いに、フョードルは一瞬だけ目を閉じる。
フョードル
……ええ
フョードル
あれは――“神”を名乗る者です
フョードル
…そ…うきゅうに…排除しなくては………
ピッピが鋭く鳴く。
ピッピ
神なんかじゃないッピ! 危険な匂いしかしないッピよ!
フョードルは息が荒れるほど震えていた
フョードル
…………まずい…このままじゃ…ぼくは……!!
フョードル
もし彼が本当に目覚めれば……!
フョードル
ぼくは……………!
誰も、軽口を叩けなかった。
ニコライですら、静かにフョードルを見つめている。

夕闇の中、
魔都・ヨコハマに、新たな敵の影が落ちた。

そしてフョードルは、誰にも聞こえないほど小さく、呟いた。
フョードル
消される……
おまけ☆




移動教室。
三年生の廊下。
???
だから!!俺ァチビじゃねぇ!!!これからなんだよ!!
???
え〜?高校3年生が今から伸びるとでも思ってるの?(笑)
???
去年から身長変わってない気がするんだけど?
――三年生が絶賛喧嘩中。

その横を通ろうとした瞬間。

ゴンッ。
シグマ
……あ
少し小柄な先輩の肩が、
シグマの肩にぶつかる。

一瞬、時間が止まった。

先輩はゆっくりシグマを見る。
???
手前、二年か?やけにデカいな…
シグマ
す、すみません!!
もう一人の少し背丈大きい先輩が鼻で笑った。
???
三年生の廊下を歩く時は気をつけないと、ましてや、私達の前はね
その先輩は、にこりと笑って、シグマの耳元へ近づいた。
???
転んで怪我したら、街を救えないだろう?魔法少年君
――なぜか、シグマの背中に冷や汗。

何も知らないふりをして、
二人の先輩はまた言い争いながら去っていった。

廊下には、
不穏な余韻だけが残った。
次回予告
番外編
「消えない手の温度」

守るためだった。
選択肢は、他になかった。
それでも――
シグマの手には、確かに残っている。

倒したはずの敵の言葉。
人だったという事実。
夜になるたび、胸に広がる重たい影。

「……私は、本当に“正しかった”のか?」

答えを出せないまま、
魔法少年は再び戦場へ向かう。
そこに待つのは、
救いか、それともさらなる罪か。

次回も、
罪を抱えて―――変身!☆
作者です
あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いします
今日は元旦ということでスペシャル企画で何話か更新いたします
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