転校というものは、いつも静かに始まります。
拍手も歓迎も、ぼくには不要です。
教室の扉が開いた瞬間、
――いました。
ピンク色の魔力反応。
それから、少し騒がしい緑色。
ああ、やはりここでしたか。
魔都・ヨコハマ。噂は正確です。
敬語で頭を下げながら、ぼくは観察します。
二年B組。
凡人で、臆病で、
それでも運命に選ばれてしまった少年――シグマさん。
彼は、ぼくと目が合った瞬間、
ほんの一瞬だけ息を止めました。
無自覚では、いられませんよ。
昼休み。
廊下ですれ違った時、ぼくは囁きます。
彼の肩が、わずかに跳ねる。
ええ、その反応で十分です。
放課後、屋上。
鳩の姿をした妖精――ポッポが、手すりに止まっていました。
ぼくの妖精、ピッピはその影から静かに現れます。
紫のタトゥーが、静かに熱を持つ。
ぼくはまだ、仲間ではありません。
敵かどうかも、決めていない。
ただ一つ確かなのは――
彼が必死になる姿を、
ぼくは最後まで見届けるつもりだということ。
紫は微笑み、
その本心を、誰にも見せないまま。
フョードルは淡々と微笑む。
ロシアでのことを、思い出す。
寒い街。
静かな夜。
光を見つけた、あの日。
呟きは、誰にも届かない。
次回予告
――ヨコハマは、今日も騒がしい街ですね。
最近は「別の魔法少年」まで話題になっているとか。
……ふふ、困惑する顔は、とても人間らしい。
ですが、
彼はまだ“何も知らない”。
鳩の妖精、揺れる心、
必死になる凡人の選択。
それらが、どんな結末を呼ぶのか――
ぼくは、少し興味があるだけです。
次回、
「何故?――そこに込められた思い」
――さて、
彼はどこまで耐えられますかね。
次回も、
運命は静かに、変身します。
作者から
こんにちわ
今回はフョードルが次回予告をしてくれました
ぐへっ
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。