夜の魔都・ヨコハマは、静かすぎた。
不自然なほど、何も起きない。
それが逆に、不安を煽る。
シグマは一人、川沿いの道を歩いていた。
胸の奥に、嫌な予感がずっと張り付いている。
その声と同時に、空気が歪んだ。
紫の光。
鋭く、冷たい気配。
振り返ると、そこにいたのはフョードル・ドストエフスキーだった。
制服のまま、だが影が不自然に揺れている。
その瞬間、怪物が姿を現す。
今までとは明らかに違う。
強い。圧が違う。
シグマは変身する。
薄ピンクの光。
けれど、怪物はまったく怯まない。
押される。
防ぐ。
それでも、足元が崩れていく。
フョードルの声は静かだった。
必死になるな。
そう分かっているのに、体が言うことを聞かない。
闇が、また絡みつく。
そのとき、鋭い声が響いた。
紫の光が弾け、
女の鳩の妖精・ピッピが飛び出す。
プライドの塊みたいな目で、ピッピはフョードルを睨む。
フョードルは一瞬、目を伏せた。
次の瞬間、
紫のタトゥーが、はっきりと浮かび上がる。
強い光。
迷いのない変身。
フョードルは一歩前に出る。
紫の力が解き放たれる。
圧倒的だった。
怪物は抵抗すらできず、崩れ落ちる。
――強い。
比べものにならないほど。
戦いが終わり、静寂が戻る。
シグマは、思わず口を開いた。
声が震える。
フョードルは、ゆっくりと振り返った。
その目には、苦しさがあった。
絞り出すような声。
初めて、感情が露わになる。
拳を握りしめる。
ポッポが、少しだけ声を落とす。
フョードルは、深く息を吸った。
そして、シグマを見る。
一歩、近づく。
沈黙。
夜風が、二人の間を通り抜ける。
シグマの目から、涙がこぼれた。
フョードルは、はっきりと頷いた。
ポッポが胸を張る。
薄ピンクと、紫。
二つの光が、並んで夜を照らす。
その光はまだ弱い。
それでも、確かに――並んでいた。
次回予告
「親友って、なんですか?」
魔法少年が増えたヨコハマ。
紫の魔法少年・フョードルは、ついに仲間として歩き出す。
けれど――
その隣で、ニコライだけが、少し違う距離感で彼を見ていた。
「感動したよ。彼は本質を見抜いていた。ドス君こそ人生で唯一の理解者であり親友だ…!」
笑うニコライ。
でもその言葉には、
誰よりも長く、誰よりも深く彼を知っている者の重さがあった。
過去の記憶。
裏切りの可能性。
そして、まだ語られていない“選択”。
フョードルはニコライに、何を話したのか――?
答えはまだ、はっきりしない。
次回も、
希望を信じて―――変身!☆
作者です
これからですが、ニコライは別に親友として殺そうとするみたいなことはしませんのでそこんとこよろしくお願いします
あと最近同じような言葉ばっか内容に入れてますが
「あーまたこの言葉ね?最初っからずっとこれ使ってるわ〜(笑)」とかいう感じで古参アピしてください(?)
ではまた次回会いましょう
―――異能力のない世界で、お互い死ななきゃまた会おう
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。