セバスチャンにアバダ・ケダブラを教えてもらってから何日かがすぎた。その間にサン・バカーの試練を終えたり、生徒や町の人からの頼み事を聞いたりと、忙しなくすごしていた。そんなある日、オミニスから地下聖堂に来て欲しいとの手紙が来た。
(そういえば、オミニスはセバスチャンがやったこと知ってるのかな)
「オミニス!どうしたの?」
「単刀直入に言う。セバスチャンがソロモンおじさんを殺した件についてなんだが。」
私は、何を言われるんだろうと思わず身構えてしまった。
(というか、セバスチャンがソロモンおじさんを殺してしまったこと、知ってたんだ。)
「俺とアンは、セバスチャンをアズカバンに引き渡すべきだと思ってる。でも、ここ最近セバスチャンとよく一緒にいて、セバスチャンの気持ちを1番理解していたのは君だ。だから、最終的な決断は君に任せたいと思う。」
私がセバスチャンの理解者だと言われて嬉しかったが、私なんかが、という気持ちも入り交じって少し複雑だった。しかし、それよりも私のせいでセバスチャンがアズカバンに送られて苦しむかもしれない、というプレッシャーの方が大きかった。
(オミニスとアンの言うことも分かる。でも、私はセバスチャンを苦しめたくはない、、、)
「分かった。でも、少し時間を頂戴。」
「分かった。でも、なるべく早く決めたいから明日までに教えてくれないか?」
「うん、分かった。」
その後、私は必要の部屋に籠ってセバスチャンをどうすべきか考えていた。
(普通は、ここでセバスチャンを引き渡すんだと思う。)
でも、私はもう普通じゃない。いくら闇の魔法使い相手とはいえ、既にたくさんの人を殺してきた。そんな私がたった1人を殺しただけの親友をアズカバンに引き渡せるわけがない。その前に自分がアズカバンに行くべきだ。
それに、一瞬感情的になりすぎて殺意が湧いてしまうことだってあるだろう。それで死の呪文を唱えてしまった、ただそれだけなんだ。
私は半ば自分に言い聞かせるようにしてずっと考え込んでいた。
殺すつもりのなかった叔父を殺し、最愛の妹にも嫌われてしまい、親友のオミニスにも自分の考えを否定されている。彼がそんな状況なのに、私は彼を見放していいのだろうか。
いや、絶対にダメだ。ここでアズカバン送りにすれば、絶対私は後悔する。
私は自分の考えを固め、オミニスと話すためにまた地下聖堂へと向かった。
「オミニス!」
「あなた、答えは決まったか?」
「うん。、、、私、セバスチャンをアズカバンに引き渡さないことにしたよ。」
「そうか。君がそう言うんならきっとそれでいいんだろう。」
「あなた、今までありがとう。そして、これからも俺の親友でいてくれないか?」
「もちろんだよ!これからもよろしくね!」
「じゃあ、またね。」
「また。」
(セバスチャンにもこのことを伝えないと。)
「セバスチャン!」
「あなたか。僕をアズカバンに引き渡す準備が出来たのか?」
セバスチャンはもう半ば諦めていた感じで、半笑いで私にそう聞いてきた。
「何を言ってるのセバスチャン!私があなたをアズカバンなんかに引き渡すわけないでしょ!」
私がそう言うと、セバスチャンは私の口からそんな言葉が出てくるとは予想していなかったようで、とても驚いていた。
「みんながなんと言おうと、私はセバスチャンの味方だよ。」
「でも、いいのか?こんな、僕が、、、こんな人殺しが!」
「もちろんだよ!それに、あなたは既に十分反省してる。それなのに、どうしてアズカバンに行く必要があるというの?」
「あなた、本当にありがとう。このことは感謝してもしきれない。」
「ふふ、良かった。」
「本当に今までありがとう。じゃあ、またいつか。」
「またね。
え?今、またいつかって言った?」
セバスチャンは私の返答には答えないまま、地下聖堂から出て行ってしまった。
(またいつかってどういうことだろう。)
その言葉の意味を知りたかったが、今の私にはそれを聞く勇気がなく、そのまま何日も過ぎてしまった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。