【葛葉side】
話し合ってから1ヶ月半。
にじさんじはとても忙しかった。
だから、みんなもちさんのお見舞いにほとんど行けてなかった。
今日、やっと時間が取れて、ひさしぶりにもちさんに会いに行くことになった。
俺たちは、階段を登って部屋へと向かう。
すると、中はもぬけの殻だった。
だが、机の上に1枚のメモが残されていた。
【少し散歩に行ってきます 剣持刀也】
俺らは外へ駆け出した。
不思議と焦りはこない。
俺はもちさんを呼んでは、あちこちを探した。
とうとう藤色の頭を見つけた。
だが、そこには驚きの光景があった。
彼はカメラを手にしていたのだ。
あれ?
収録用とはいえカメラから逃げたことあったよな?
それで、確かカメラへのトラウマを診断されたはず。
彼はゆっくりとこちらへ振り返った。
その首には、天然石製のお守りを下げている。
久しぶりに見たもちさんは、随分と顔色がよくなったような気がした。
相変わらず出にくそうだったが、確かに声を発してくれている。
あぁ。
この人は俺らの見えていないところで、すごく頑張っていたんだ。
そしていつのまにかこんなに元気になっていたんた。
心の奥が、ホワリと温まった。
そう言って彼は、色とりどりの花をパシャリと撮る。
もちさんは空を仰いだ。
彼はとても晴れやかな笑顔だった。


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!