ザーッ… 🌊
私たちは、済州島に着くなり真っ先に海へと向かった。
天気は良好。
透き通った青い海が一面に広がっている。
彼はそう言って穏やかに笑う。
良かった、笑顔が見れて―――。
私がそう言うと、彼は直ぐにスマホを取り出し…
そう言ってすんみんの方を振り向くと、彼はまだ海を見ていた。
海の、はるか遠くの方を―――。
何を考えているかは分からないけれど、話しかけられる雰囲気ではなく、思わず言葉に詰まってしまった。
しばらくりのと二人で様子を伺っていると、急に意識を戻したようにこちらを向いた。
その後も何度か上の空を見上げることがあったけど、時間が経つにつれてその頻度は徐々に薄れていったように感じた。
🌙*゚─────────────────
私達が泊まるホテルは、海岸沿いにあって、海の見える場所だった。
私は男の子2人とは別で、部屋の中で1人海を眺めていた。
そう思い、パジャマの上からカーディガンを羽織って海へと向かった。
そんなことを呟いていると、前から声が聞こえた。
どうしよう、気まずい…。
今日は何でずっと上の空だったの?なんて聞けるはずないし、、、
何を話そうかと悩んでいると、彼から切り出された。
そう言って彼の手を強く握ってあげる。
彼は、涙を零しながら必死にありがとうと何度も私に伝える。
堪えようとしていたものが一気に溢れ出したように、彼を縛っていたものが、不思議と解けたように、、、
🐶side ──────────
彼女に、全てを話した。
過去のこと、今のこと、それらのせいで自分がどうするべきか分からないこと、全て―――。
何と返されるだろうか、。
父親が悪い、僕はもう愛されていない、どれも彼女の口からは言われたくない。
そんな返答があったら…と思い、全て話したことを少し後悔した。
けれど、そんな心配はいらなかった。
そう言って手を握ってくれた。
父親は僕のことを愛してくれていた。
嫌われたわけじゃない。
けれど、今の状況は変えなきゃいけない。
的確で、けれど優しくて、僕が望んでいた言葉で…。
今までの辛さと、過去の優しい父親の姿が一気に涙とともに溢れ出て止まらなくなった。
泣き続けても、黙って僕のことを見続けてくれる。
こんな状況でも尚、彼女に向けた想いは特別だった。
彼女の優しさにつけこみながら、泣きじゃくって考えることも出来ない脳の中で彼女への欲が僕を支配し、誰にも奪われたくない衝動に駆られた。
ここでするべきではない、そう分かっていながらも、彼女と目が合った時、思わず彼女に口付けをしてしまった―――。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。