第33話

【31】
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2022/06/22 10:19
あなた

……は、半妖?
なにそれ、、、

斉藤壮馬
半分人間で半分妖怪の事だよ。
あなた

じゃあ、壮馬くんは妖怪…?

斉藤壮馬
まぁ、、そうなのかな、
僕の場合人間の血の方が強いけどね。
あなた

もしかして、顔を隠してるのって…

斉藤壮馬
そう、
僕はちょっと特殊でね、
あなた

特殊、?

斉藤壮馬
うん、
愛した人に顔を見られたら消えちゃうの。
あなた

愛した人…?

斉藤壮馬
君だよ。
心臓が止まりそうになった。
あなた

(泣きそう、、、、どうしよう、、、)

斉藤壮馬
消えたらその先にはなにがあると思う?
あなた

……なんだろうね。

枯れそうな声でそう言った。
斉藤壮馬
顔、あげて。
彼は優しい声で言った。


でも泣き顔を見られたくなくて顔をあげられなかった。
斉藤壮馬
君の顔ちゃんと見たいな。
そう言って私の頬を優しく撫でた。
あなた

っつ、、

斉藤壮馬
………好きです。
やめてよ、涙が止まらなくなるから。
あなた

私も好きです、、、

彼が私から離れた。
あなた

………?

斉藤壮馬
面付けてるとさ、
君の顔あんまりうまく見えないんだよね。
だからさ、
見てもいい?
あなた

え……?
それって、

その先の言葉を遮るように彼は

面をとった。
斉藤壮馬
うん、よく見える。
彼の体から光の粒が少しずつ舞う。
あなた

やめて、いやだ、!

斉藤壮馬
おいで、
彼が腕をひろげる。
斉藤壮馬
やっと、君を近くで見れる。
あなた

(綺麗な顔。優しい声。)

今はそれがなにより辛い。


私は走り出す。


そして彼を抱きしめる。


そして彼も抱きしめる。
斉藤壮馬
あなた、愛してる。
そうして彼は消えた。


光の粒となって。
あなた

うっ、うぅあぁ、、

残ったのは彼の着ていた浴衣。


そして見慣れた狐の面。
私は1人で彼の温もりがまだある浴衣を抱きしめる。





こうして彼と私の最初で最後の夏が終わった。

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