接客しているトントンさんの声がこちら側まで聞こえてくる。よく通る声だなぁと思いつつ開店時間となったホストクラブは楽しそうな声が聞こえてくる。
とりあえずフードの準備や今出ていく予定のシャンパンなどを用意しているとホールの方からやはりトントンさんの声などが聞こえてくる。どうやら姫に好きな人の話をされているようだ。なんだか可哀想な話だ。トントンさんはガチ恋はいないらしく色恋営業もしないし、そのトントンさんにその手を話をするとは…完全に姫もガチなのだろう。
はにかむように答えているトントンさんがすごく痛々しかった。ありゃ…姫もご納得出来ていない様子。あれからどうやって話を軌道修正するのやら…難しいなぁ。
と、勝手に盗み聞きしているとちわーっす。と怠そうな声が聞こえてきたので思わず目をぱっと見開いた。すごく珍しい。【ショッピさん】が来た。
この人はこのホストクラブのレアキャラ中のレアキャラ。店に出ないは当たり前だし正直お金のために生きてる感じが凄い。多分今日もお金の問題的に仕事に来たのだろう。ここまで来たら清々しくて憧れる。
スパッと切ると拗ねたような顔をしてショッピさんは着替えに行ってしまった。今日のレアキャラを私はどうやら怒らせてしまったようだが内容がないようなだけに仕方がないと思うことにした。
ショッピさんと連絡先を交換するだなんて、万が一姫とかに見られたり会ってるなんて知られたら殺されるのは私だ。自分の身のために自分を守って何が悪い。
ふーっと溜息をつくとホールの方からはシャンパンコールが聞こえてくる。どうやらトントンさんはあの姫を宥められたようだった。流石だなぁ。しかもちゃっかり入ってるボトルはアルマンド。末恐ろしい
と、どうやら新規のお客様らしい方が尋ねてきた。私に話しかけてくる人は珍しいな。姫は大体毛嫌いして私の事遠ざけてくるのに。まぁ女だからだろうけど
営業スマイルで話しかけると姫はモジモジとしてなんとも言えない顔をしていた。このお客様。どこかで見たような…気のせいか?バレない程度にジロジロと見ていると後ろからショッピさんが少し機嫌が悪そうにしながら出てきた。
腕を引かれて足早に姫が連れていこうとするのに連れて行かれるショッピさん。私の横を通り過ぎる前に私のポケットに何かをズボッ!と入れると何故かべー!と舌を出して姫と席に行ってしまった。
なんなんだあれは。とりあえずポケットに何を入れたんだ?と不審に思いつつガサガサとしているとポケットからは四つ折りにされた紙が出てきた
四つ折りの紙を開けるとそこには連絡先らしいもの。なんで無理だと言ったのに……と破こうと思ったが下に文字があることに気づき読んでみると
【俺今日姫に来るって言ってないのに知らせてないし知らせる手段もないのに待ち伏せされてるんっすよ。俺が可哀想と思ったなら連絡寄越してくれればあなたならワンコールで出ますよ】
なんて強行的な手段なんだ…。と、連絡先の書かれた紙を死んだような目で眺めていると
ニヤッと悪い顔をするゾムさん。なんて恐ろしい。ていうか、今日我々だの方の集まり具合がすごいなと思ってしまった今日この頃だ













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。