さくらは強い力で遥香の手を握っているが遥香はそっとその上に右手を添えるだけで子供たちが来るかどうかなど全く気にしていない。
そんな遥香を見てさくらも自分がどうしてこんなにも動揺しているのか分からなかった。元々文化祭の劇には沢山の観覧の人達がいてその中で芝居をする。
それも覚悟して手を挙げた日のことをさくらは思い出した。
子供たちがいなくなった公園はとても静かで片隅のベンチひとつだけを使っているさくらと遥香だけのものになっていた。
その中で2人は題目の出演場面やちょっとしたセリフ合わせをした。
主にキャプテン気質の遥香が話を進めていくものだったが、さくらが特に反論することはなくスムーズに話が進んだ。
間違えていけないのは遥香が横柄な態度でさくらの話を聞かなかったのではないことで、さくらは積極的に発言をしなかったものの遥香の判断一つ一つを納得していた。
話し合いの結果さくらは前半、遥香は後半を担当することになった。
川岸を散歩していた老父婦が2人の方を振り向く。遥香のため息は公園を突き抜けた。
遥香もさくらも蓋を開けたら思ってたのと違うという体験は何度もしてきた、こう聞いていたのに、こう教わったのに、例外という裏切りにあうたび何度も自分の経験を上書きした。
その経験全てが2人を成長させるわけではない、大きすぎる例外は2人を自分という殻に閉じ込める。
しかし、今回の裏切りが成長する機会をくれるということを2人は確信していた。
何故なら、独りではないから。。裏切りという絶望を共感できるから。共感ができるということはそれだけで他人を救える。
その後2人は学校に行き昼ごはんを食べた。さくらは途中コンビニで買ったおにぎりを、遥香は手作り弁当をいつもの教室の席で食べた。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。