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雲一つない青空。小鳥たちの囀り。軽快な音楽。さっと吹き抜ける風。そして何より、オレ達のショーを楽しみに待ち客席に腰掛ける人々の笑顔。
前から2列目真ん中のベンチに、咲希達は腰掛けている。と言っても隣に座っているのは一歌達ではなく、知らない顔ばかりだ。少し意外ではある。
そして後方のベンチの端の方に遠慮がちに座っているのは、こはねだ。と言ってもいつもとは違い、髪は前髪共に長く、何よりメガネを掛けている。だが、こはねに間違いないだろう。
えむは、どこか上の空だった。
もちろん、その丸く光り輝くその瞳は舞台裏の隙間から見える観客達を映している。だが、えむはそれよりもっと何処か遠くを見ているように感じた。
オレ達の心配をえむは察したのか、すぐにぱっと普段の笑顔になった。けれどその笑顔の奥に、少しの不安が宿っている。
赤いカーテンが開かれる。まぶしい外の光が一気に差し込み、まるでオレ達を照らすスポットライトのように輝く。
えむの手を引き、類の目を見て、ネネロボの頭にぽんっと手を置く。
引いた手がぎゅっと握り返される。もう迷いも憂いもない。その顔はとても綺麗で、でもそれは、嵐の前の静けさとも言えるような、そんな。_____そんな顔だった。
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ステージは拍手の音で包まれる。拍手喝采という言葉が似つかわしい、晴れ舞台だ。
昨日寧々にしっかり休むよう伝えたおかげで、ネネロボの充電切れは免れ、無事トラブルなくショーを終えることができた。観客の反応もよく、皆顔が明るい。何より、笑顔で溢れている。
だが________
楽しい時間が終わる。そういう、顔をしている。夕焼けを見るときの、切ない気持ちと諦めを合わせた何とも言えない悲しげな顔を。
舞台裏に移った途端、不意にえむが名を呼んだ。
その声は、いつもの明るくお気楽なえむの声ではなく。真剣で、冷酷で、悲痛で、そして安堵の声だった。その聞き慣れない声に、この場にいる全員が息を呑むのが分かった。
えむの目は、顔は、声は、
穏やかさを努めていた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。