◆◇◆◇◆◇
翌日。オレはワンダーステージで待つ仲間たちのもとに、一冊の台本を持って行き、高らかに掲げた。
我ら『ワンダーランズ✕ショウタイム』にとって最初の脚本。思い入れが強く、このショーのおかげでオレ達の絆が深まったと言っても、過言ではない。なら、時間が戻った今でもショーをやるならこの話にするべきだ。
オレが台本を手渡すと、類たちは興味深そうにそれを手に取り、パラパラとページをめくった。
寧々は心底びっくりしたのかそう嫌そうな声を出し、ネネロボの耳を塞がせた。2、3歩後ろへ下がり、あからさまにオレのことを不審がっている。
衝撃すぎて上手く言葉が出ない。焦った顔で口をパクパクさせるたび、寧々の反応も悪くなっていく。
今だけは、オレを隙あらば小馬鹿にする類のことも見逃してやる。だが、寧々の反応をスルーすることはできない。
情けなく地面にへなへなと座り込んだオレを、きょとんとした顔でえむが見る。今は純粋で無知なえむの行動に救われた。震えながら何度も頷くと、えむはにこっと笑った。
衝撃の展開に加え心からの罵倒。オレでも流石に堪える。えむによって立ち直りかけた心は、再び折れかけた。そこに追い打ちをかけるように、類がオレを上から見下ろす。
2メートルくらいだったはずのネネロボとオレの距離は、いつの間にか10メートルになっていた。相当、いや本当に相当警戒されているらしい。
思い当たる節は一つしかない。
オレは昨日、ネネロボの存在について何も反論しなかった。類にも指摘された通り、最初のオレはあまりの衝撃と突飛な展開についていけず、ロボットがショーなど出来るはずがないと断言した。
そのことがきっかけでお互いムキになり、結果寧々の毒舌が力を発揮して警戒心が解け、気軽に意見を言い合える関係になったのだ。
少し恐怖を覚える。
これからこの先も、きっと。オレの些細な行動の変化で、オレの周りの人間関係が_____最悪、『ワンダーランズ✕ショウタイム』の未来が左右される。
元通りの関係、とまではいかないが。ひとまず、少しずつあるべき関係に修復されつつある。悲観的になっている場合ではない。人間の感情や相手に対する想いなど、時間と共に変わる。
後ろでコソコソオレのことを話すみんなに向け、台本を軽くパンっと叩きこちらを向かせる。そして拳を高らかに掲げ、力強く断言する。
相変わらずいつも明るく、そして誰よりも大きな覚悟を内に秘めているえむ。
警戒はされつつも、演出家として腕を振るってくれる頼もしい味方である類。
元の関係にはまだ遠いが、少しずつ心を開きながらオレの横に立ち、夢への道を歩み始めている寧々。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。