第3話

準備万全?
29
2026/06/16 13:00 更新
◆◇◆◇◆◇
天馬司
はぁ……………はぁ、
天馬司
なんとか、演出家を連れてきたぞ!
鳳えむ
わあ〜!昨日のショーの人だ!
ようこそわんだほ〜い☆
神代類
へえ。こんなステージがあったなんて、
知らなかったな
神代類
君が司くんの言っていた子だね。
神代類だよ。よろしく
なんやかんや沢山色んなことが起きた後、オレ達はえむの待つワンダーステージへと向かった。こいつらは初顔合わせとなる。

前回とは違い警戒心剥き出しだったはずの類は、オレの時とは打って変わって、友好的にえむと接し始めた。
鳳えむ
えへへ!あたし、鳳えむ!
よろしくね、類くん♪
天馬司
……………
鳳えむ
司くん………?。どうしたの?
天馬司
あぁ、いや
神代類
司くんも…………よろしくね
天馬司
意味深な間を置くんじゃない!!
天馬司
(まったく………さっきは、肝が冷えたぞ)
神代類
僕はずっと君を見ていたよ。
そう、昨日のショーの時もずっとね
神代類
さぁ、真実を話してくれたまえ
神代類
さもないと_____
神代類
僕の大切な幼馴染に
いらぬ詮索をする君の口を……………、
封じてしまう必要があるじゃないか
天馬司
(…………才能ある仲間を探していて、寧々が過去の劇団で活躍していたことを知ったという嘘で、なんとか話をつけれたが)
神代類
フフ…………
天馬司
(正直、初期の頃の類ってだいぶ厄介だな)
類は頭が冴える。悔しいがオレの何倍も思慮深く、察しがよく、そして疑り深い。

類との信頼関係がまだ0に等しいオレが、類に対し正解の言動を取り続ければ取り続けるほど、逆にオレは不審な人物として警戒される。
天馬司
(どうするべきか……………)
鳳えむ
そういえば、類くん!。
もう一人いっしょにショーをしてくれる子がいるんだよね!?
神代類
あぁ、そこまで一緒に来ていたんだけど。
彼女は少し話すのが苦手でね。
呼んでくるから待っていてほしいな
鳳えむ
どんな子なのかなー?とっても楽しみ!
天馬司
(次は………寧々と会うわけだが)
天馬司
(正直、一番難易度が高いな………)
あの寧々と、また一から関係を構築し直さなければならない。警戒心におけば類の何倍も強く、そしてこのメンバーの中で一番繊細な心の持ち主だ。下手な行動を取れば、類にも消される。
神代類
ふたりともお待たせ。連れてきたよ
神代類
ほら、寧々。みんなに挨拶を
ネネロボ
『あ…………えっと、よろしく』
鳳えむ
ロボット!!??
天馬司
(出たな。衝撃の出会いパート2)
もはや見慣れすぎて何の驚きもないが、類の後ろからひょこっと顔を出したのはネネロボだった。展開を知っているオレとは違い、初めてネネロボを見るえむは目を輝かせ、楽しそうに飛び跳ねる。
鳳えむ
ロボちゃん、お名前はあるの?。教えて!
ネネロボ
『………名前?。え、ええっと………』
神代類
そういえばロボット自体に名前はつけていなかったね。この際、君の名前を教えたらどうだい?
ネネロボ
『………草薙寧々』
鳳えむ
そっか!。じゃあ、
この子はネネロボちゃんだね♪
ネネロボ
『ネネロボ…………ま、まぁ、
 その名前でいいけど』
天馬司
では、寧々!!。これからよろしく頼むぞ
ネネロボ
『…………………』
天馬司
お、おい………何もそんなに逃げなくても
ネネロボ____寧々はオレが話しかけた途端、すっと後退りし類の背後へと隠れた(体が大きいせいで丸見えだが)。
神代類
寧々。司くんは確かに
図々しくて声が大きいけれど、
君に害を与える人間ではないと思うよ
天馬司
お前………普通に悪口だからな、それ
鳳えむ
ネネロボちゃん、寧々ちゃん!。
これからよろしくね☆
ネネロボ
『よ、よろしく…………』
神代類
…………少し意外だね
類はまた目を鋭くし、オレに近づいて耳打ちした。
神代類
4人目のメンバーがロボットの操縦士。
そのことに君は驚いている様子がない
神代類
むしろ………どこか安心しているように見える
天馬司
な、何……………?
神代類
僕の見立てによると。
君は、「ロボットがショーをするなんて」と、
反論し始める頃だと思うのだけれど
天馬司
っ……………
神代類
随分、素直に受け入れてくれるじゃないか
返す言葉がない。確かに、最初はそうだった。ロボットがショーなど馬鹿げている、こんなロボットに歌も踊りも出来るはずがないと。
だがそうではない。それどころか、いずれ寧々は自分の問題と真っ直ぐ向き合い、ロボットなしでステージに立てるようになる、強い人であると。オレは知っている。
天馬司
…………お前も、ハイレベルなロボットやドローンをショーで使っていたからな。それを思えば、不思議なことではないだろう
天馬司
それに、お前作ったロボットだ。
歌も踊りも、完璧なものに違いない
神代類
随分と………僕を信頼しているみたいだね
天馬司
みたいじゃない。しているんだ
神代類
それは………なぜだい?
天馬司
オレ達は、仲間だからな
類の表情が、警戒から期待へと変わった気がした。些細な変化だが、確かな変化だ。彼は「仲間、か」と静かに呟きそっと目を細め、そしてまたネネロボの方へ戻った。
天馬司
では!。挨拶も済んだことだ。
早速、『ワンダーランズ✕ショウタイム』
第一回目作戦会議としよう
神代類
いつの間にユニット名が決まったんだい?
天馬司
まあ、細かいことはいいだろう?。
善は急げだ。メンバーが決まったなら、
公演に向けて準備しなければ
とにかく時間がない。確か、この頃のワンダーステージはまだ"おんぼろステージ"と呼ばれ、えむの兄達にとって処分の対象以外の何物でもなかった。
限られたメンバー、限られた時間で。すぐにでもえむの兄達を納得させる、素晴らしいショーをしなければ。
天馬司
(…………正直、不安だが)
天馬司
(あの時間に戻れない以上、
 オレがここでなんとかしなければ____)
神代類
……………………

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