すごいのか?
わからない。手作り弁当を褒められたことなんてないから、すごいことなのかわからない。でも、嬉しいな。
僕の弁当箱から肉団子を一つ摘み 、食べると、無表情だった顔が少し緩んだ。不味くはなかったようだ。それだけで胸を撫で下ろした。
自分の作ったもので、誰かが笑ってくれるのって、こんなに嬉しいんだ。
そう去って行く、西園寺先輩の背中は、少し大きく見えた。
まだ、心臓が速い。僕と西園寺先輩はただの先輩後輩で、それ以上のことなんて、何もない。だから、モヤモヤするのは気のせいだ。きっとそうだ。
僕も、そろそろ戻ろ。
放課後、屋上、なんだその少女漫画の王道場面。
いやでも、あんな内容にはならないだろうし、ならない方がいいもんな。でも、行かないって選択肢もある。
ドタキャンになるのか?それは、だめだ。もっと目をつけられる。行った方がいいのかも。
午後の授業は、殆ど頭になんて入らなくて、先生に注意されてしまった。仕方ないだろ。モヤモヤする原因の人に呼び出されたら、誰だって他の子とは上の空になるはずだ。
放課後、屋上に行く足取りは案の定重い。行く前からどんより気分だ。
好き? 好き? 好きって、どの?
西園寺先輩のこと何も知らないのに、僕に付き合うなんて無理だ。でも、西園寺先輩のこと知れたら、西園寺先輩のこと好きになるのかな。わからないけど、なんでか、西園寺先輩のことが気になる。
西園寺先輩の笑顔を見ると、心拍数は上がる。クールな無表情からの不意の笑顔にドキッとする。女子たちが好きそうなタイプのイケメン。僕は今、このイケメンに告白された。もう既に、情報過多だ。野上になんて言えばいい。あいつが言いふらさないとは限らない。男に告白されたなんて、言いづらい。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。