―――痛い。
絶望の残党を。
裏切り者である未来機関の一人を除き
あの場の全員を皆殺しにする為、
何度も太ももを、腕を、右手には穴すら開けた。
声をあげないように自分でつけたガムテープは
よく仕事をしてくれた。
唾液で濡れて不快だが、これも希望の為だ。
痛み、苦しんでこそ手に入れた希望の価値が
上がるというものだろう。
グッズ倉庫に、荒い呼吸音と、賛美歌だけが響く。
別に賛美歌が好きな訳ではない。
聞いていると落ち着く程度で、
ボクなんかに音楽の善し悪しなんて
わかるわけないでしょ?
―――あなたの名字さん。
今のボクを見たら、彼女は何を思うんだろう。
痛みで朦朧としてきた意識を保つために、
彼女のことを思い出す。
どうしてだろう。あの時の彼女が、
なぜだか酷く悲しそうな顔をしていたのを、
今になって思い出すのは。
この事すら、知っていたのだろうか。
なんて、返事したんだっけ。あの時……
声が、聞こえた。
走馬灯みたいな痛ましい表情をした彼女は、
辛そうに笑っている。
幻覚か。いよいよだな、と自嘲したくなった。
ボクもキミも、希望なんてそんなの、
似合わなかったんだろうね。それでも、
…………
暑い。視界に微かに映る赤色のせいだろう。
じっとりとした汗が額に滲んだ。拭えない。
苦しい。痛い。ロープを握る指の感覚はもうなく、
ただただ辛くて、痛い。
けれど執念だけで左手を握り続ける。
けれど。キミの方が苦しかったんだろう。
あの時。彼女の涙を拭ってみたかった。
友人なんかいたことないから、
心配の仕方が下手くそだったんだ。恥ずかしいよ。
ねえ、許してくれないかな。
―――約束、守れなくてごめんね。
#78「狛枝凪斗のエンドロール」
あなたの名字 あなた
狛枝 凪斗
よければ#60も見返してみてください🙇🏻♀️՞
狛枝凪斗にとって、
人生の主役は誰目線だったかという訳ではなく
誰を主軸として回っていたかと考えたとき、
それは夢主だったという話です。
よく考えてみれば幸運不運の出来事も全部
狛枝凪斗を主軸にして人生は回っていたけど、
それを認めたくない狛枝の抵抗のようなものだと
思っていただけたら!
多分本当の人生の終わりでは、
このエンドロールに日向くんの名前が
デカデカと表示されます。
他の超高校級のみんなの名前も書かれます。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。