第81話

#78「狛枝凪斗のエンドロール II」
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2026/08/29 15:00 更新


  ―――痛い。


  絶望の残党を。
裏切り者である未来機関の一人を除き
あの場の全員を皆殺しにする為、
何度も太ももを、腕を、右手には穴すら開けた。
  声をあげないように自分でつけたガムテープは
よく仕事をしてくれた。
唾液で濡れて不快だが、これも希望の為だ。
痛み、苦しんでこそ手に入れた希望の価値が
上がるというものだろう。

狛枝 凪斗
……


グッズ倉庫に、荒い呼吸音と、賛美歌だけが響く。




別に賛美歌が好きな訳ではない。
聞いていると落ち着く程度で、
ボクなんかに音楽の善し悪しなんて
わかるわけないでしょ?

あなた
" やっぱり賛美歌好きなんだ…… "
狛枝 凪斗
……


―――あなたの名字さん。

今のボクを見たら、彼女は何を思うんだろう。
痛みで朦朧としてきた意識を保つために、
彼女のことを思い出す。

あなた
" ね、狛枝くん "
あなた
" キリスト教のお葬式だと、
賛美歌が流されるらしいね "
狛枝 凪斗
( …… )
あなた
" だから、私。
賛美歌苦手なんだ "


どうしてだろう。あの時の彼女が、
なぜだか酷く悲しそうな顔をしていたのを、
今になって思い出すのは。

狛枝 凪斗
( ………キミって )

この事すら、知っていたのだろうか。

あなた
" 私は信者になれないね "

  なんて、返事したんだっけ。あの時……


あなた
―――ねえ、狛枝くん。


声が、聞こえた。


あなた
英雄なんか、ならないで。
あなた
……なんて。
あなた
私じゃ、やっぱり、
変えられなかったね。
あなた
あなたを変えられるような希望に、
やっぱりなれなかったなぁ……



走馬灯みたいな痛ましい表情をした彼女は、
辛そうに笑っている。

幻覚か。いよいよだな、と自嘲したくなった。



狛枝 凪斗
( ……ならなくていいんじゃない )



ボクもキミも、希望なんてそんなの、
似合わなかったんだろうね。それでも、

狛枝 凪斗
( そういう人だから、ボクは )


…………

あなた
" ――狛枝くん。
死なないで、いてくれる? "


暑い。視界に微かに映る赤色のせいだろう。
じっとりとした汗が額に滲んだ。拭えない。
苦しい。痛い。ロープを握る指の感覚はもうなく、
ただただ辛くて、痛い。
けれど執念だけで左手を握り続ける。

けれど。キミの方が苦しかったんだろう。
あの時。彼女の涙を拭ってみたかった。
友人なんかいたことないから、
心配の仕方が下手くそだったんだ。恥ずかしいよ。
ねえ、許してくれないかな。

  ―――約束、守れなくてごめんね。







#78「狛枝凪斗のエンドロール」



あなたの名字 あなた
                                      狛枝 凪斗


  よければ#60も見返してみてください🙇🏻‍♀️՞

  狛枝凪斗にとって、
人生の主役は誰目線だったかという訳ではなく
誰を主軸として回っていたかと考えたとき、
それは夢主だったという話です。

よく考えてみれば幸運不運の出来事も全部
狛枝凪斗を主軸にして人生は回っていたけど、
それを認めたくない狛枝の抵抗のようなものだと
思っていただけたら!


多分本当の人生の終わりでは、
このエンドロールに日向くんの名前が
デカデカと表示されます。
他の超高校級のみんなの名前も書かれます。

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