お箸を置いて、少し考えるように黙る。
「顔が好きか」と聞かれれば無論答えはYESである。
彼の顔は整っていて、
嫌いな人なんていなんじゃないかとすら思う。けど、
彼は飲んでいたどす黒い液体を置いて、
飲み込んでから少しむせた。
だって狛枝くんは人気投票一位の人だしなぁ。と
思うけれども、そんなこと口には出せないし
私は笑って誤魔化した。
狛枝くんの砕けた口調がなんだか嬉しくて、
私はコップに入れたレモネードを飲み干した。
こうして話していると、
なんだか普通の高校生みたいだ。
彼にとっては嫌かもしれないけれど、
平凡で、どこにでもある、平穏な会話。
クーラーが寒いのにどこか暖かくて、私は笑った。
彼も。自分の不運のことを、
少しでも忘れられたらいいんだけど―――、
そう思った瞬間だった。
冷たい。そう思って横を見ると、
小さな子どもが立っている。
どうやら五、六歳くらいのこの女の子に
ジュースをかけられたようだった。
どうしようかな。と思ったけれど、
女の子は泣きそうな目をしている。
わざとではなさそうだ。
なら、と私はできるだけ優しく微笑む。
そういうと、お母さんらしい女の人は
クリーニング代を私に無理やり持たせるようにして、
何度も頭を下げてから奥の席へと座っていった。
―――ああ、優しいお母さんだなぁ。と思う。
前を見ると、私より傷ついた顔をした彼がいて、
つい笑ってしまった。
ジュースをこぼされたのはスカートだ。
なんのジュースを飲んでいたか知らないが、
白いスカートの一部が明るい色に変色していた。
別に、本当は私はそこまでポジティブじゃないし、
優しい人間でもないと思う。
でも、きっとこれが彼の不運だと
狛枝くんは思ってしまうとわかっていたから、
彼に少しでも傷ついて欲しくないから、
ポジティブな性格の女の子になれてしまうだけだ。
嘘つきでごめんね。
スーパーダンガンロンパ2
1周年おめでとうございます!
明日だと思ってました












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。