ドサ、っと大きな音がした。紙袋だった。
中身が少し見えた。札束が入っていた。
どうしよう。嫌だ、と思った。
彼に罪悪感を抱かせたまま、
お金を貰ってはいサヨナラなんてしたくない。
だって、彼は私の全てで。
彼に悲しい思いも辛い思いもして欲しくなくて。
できるなら、傲慢だと分かっているけど、
彼が幸せになるまでその姿を見ていたくて。
見ているだけで幸せだけど、それでも、
もう一緒に話せる楽しさを知っちゃったから。
本当に彼が嫌なら絶対話しかけないけど、
その原因が彼の体質にあるなら。
ボロ、と滴が、頬を伝うのが分かった。
なんでこんな、彼のことになると涙脆くなるんだろう。
嫌だな。すぐ泣く女って思われたくないのに。
使える方の腕で目を擦って涙を拭く。
彼も少し困惑していた。
出会ってまだ一ヶ月くらいなのに、
彼に関わるなと言われただけで泣く私が
不思議なのかもしれない。
まぁそれはいい。
私は頭の中で言うべきことを整理して、口を開く。
心臓がバクバクと鳴っていた。
鼻をすすった。ボロボロ私は泣いていた。
うわぁ、こんな顔見られたくなかったな。
泣きたくないのに。もうほんと、やだ。
そんなの。いくらだって理由はある。
金輪際関わらないでって言われたこともそうだし、
莫大な手切れ金を渡そうとしていることもそうだし、
あ。多分言うべきなの、これじゃなかったなぁ。と、
言った後に気がついた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。