第17話

#15「大きなことなのに!」
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2026/05/03 15:00 更新


狛枝 凪斗
キミと関わると疲れるんだよ。不愉快。
興味のない人間に付き纏われるなんて、
迷惑だって分からないかな。
狛枝 凪斗
金輪際、ボクに関わらないでくれる?


ドサ、っと大きな音がした。紙袋だった。
中身が少し見えた。札束が入っていた。

あなた
………ぜ、絶対医療費より高いよね?
狛枝 凪斗
さぁ。
あなた
あと、医療費と慰謝料は
看板のお店から貰えるから
本当にいらなくて、
狛枝 凪斗
じゃあ好きに使いなよ。
手切れ金だとでも思ってさ。
あなた
私たち、まだ友達でもないのに……?


どうしよう。嫌だ、と思った。
彼に罪悪感を抱かせたまま、
お金を貰ってはいサヨナラなんてしたくない。

あなた
……


だって、彼は私の全てで。
彼に悲しい思いも辛い思いもして欲しくなくて。
できるなら、傲慢だと分かっているけど、
彼が幸せになるまでその姿を見ていたくて。

あなた
……


見ているだけで幸せだけど、それでも、
もう一緒に話せる楽しさを知っちゃったから。
本当に彼が嫌なら絶対話しかけないけど、
その原因が彼の体質にあるなら。

あなた
………


狛枝 凪斗
は?


ボロ、と滴が、頬を伝うのが分かった。

狛枝 凪斗
は? え、泣……
あなた
……ちょ、っと、まって。
すぐ落ち着くから。
まだ出て行かないでね。


なんでこんな、彼のことになると涙脆くなるんだろう。
嫌だな。すぐ泣く女って思われたくないのに。
使える方の腕で目を擦って涙を拭く。

あなた
………………お、落ち着いた。
落ち着きました。ごめんね。
狛枝 凪斗
ああ、いや、別に……?


彼も少し困惑していた。
出会ってまだ一ヶ月くらいなのに、
彼に関わるなと言われただけで泣く私が
不思議なのかもしれない。

まぁそれはいい。
私は頭の中で言うべきことを整理して、口を開く。
心臓がバクバクと鳴っていた。

あなた
………狛枝くん、ごめんね。
あなた
勝手なことして、ごめんなさい。
庇われて嬉しいなんて、
狛枝くんは思わないって分かってたのに。
狛枝 凪斗
………
あなた
け、けど、
看板が落ちてきたのはお店のせいだし、
あなた
狛枝くんを庇って怪我したのも
もちろん全部私の責任だから、
狛枝 凪斗
……
あなた
ほん、とに、狛枝くんは何も悪くなくて、
だからお金も貰いたくなくて、
狛枝 凪斗
………あのさ、
狛枝 凪斗
いくらなんでも、泣き過ぎじゃない?


鼻をすすった。ボロボロ私は泣いていた。
うわぁ、こんな顔見られたくなかったな。
泣きたくないのに。もうほんと、やだ。

狛枝 凪斗
………なんでキミが泣くのさ。


そんなの。いくらだって理由はある。

金輪際関わらないでって言われたこともそうだし、
莫大な手切れ金を渡そうとしていることもそうだし、

あなた
だ、って、狛枝くん、
あなた
私のこと、名前で呼んでくれないし……
狛枝 凪斗
え?


あ。多分言うべきなの、これじゃなかったなぁ。と、
言った後に気がついた。

狛枝 凪斗
……………そんなことで?

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