第128話

#125「キミはいつも言葉が足りない!」
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2026/10/14 15:00 更新


  お、今日は終電間に合いそうかも。

デスクの壁にかけられている丸い時計を見て、
私は安堵の息を吐いた。久しぶりに、家に帰れる。

あなた
んーー………


ぐぐ、と背伸びをする。背もたれがギィと音を立てた。
あなた
お腹空いたなーー……


明日は休み。休みである。
コンビニでご飯と、甘いものでも買って帰ろうかな。
そう思って私はパソコンを閉じ、カバンを手に持つ。

それからなんとなくスマホを取りだして中を見ると、
ピコンと通知が鳴った。ニュースだ。





あなた
えっ、


私の家、燃えたらしい。



◇


  ニュースが放送されている。
私の住んでいるアパートが燃えたらしい。
住人の一人の煙草の不始末だとかで。
生放送で中継されているその様子はどこか他人事で、
パチパチと小さく聞こえる炎の音を聞いていた。

苗木 誠
……え? あなたの名字さん?


ぼうだとデスクでその様子を見ていたら、
後ろから聞きなれた声がしてゆっくり振り返る。
彼は「まだいたの」と驚いた様子だった。

苗木 誠
今日は仕事終わりそう……
って話してなかったっけ?
苗木 誠
ボク、てっきりキミが
電気消し忘れたと思って来たんだけど……
苗木 誠
何見てるの?
あなた
私の家が燃える様子。
苗木 誠
は?


今日、どこで寝ようかな。まぁ会社か。
何度かここで寝落ちしたり
帰れず寝たこともあるし、まぁ安牌だろう。
苗木 誠
え? いや待って待って、本当に?
あなた
うん。見て、すごい燃えてる。
苗木 誠
もう諦めてるよねあなたの名字さん
あなた
終電珍しくあったのに、
今度は家がなくなるのやばい(笑)
苗木 誠
いややばい(笑)じゃなくて


枕買っといてよかった〜〜。
正直疲れてるからお風呂入ってすぐ寝たかったけど、
まぁ未来機関にも
前線部隊が帰ってきたようにシャワーもあるし、
なんとかなるだろう。なって欲しい。

苗木 誠
どこで寝るの?
あなた
会社!


苗木くんは明らかに「うわあ」という顔をする。
意外と彼はこういう所がある。失礼である。

苗木 誠
とりあえず、霧切さんとか朝比奈さんに、
今日あなたの名字さん泊めれるか聞いてみるよ。
あなた
本当にごめんありがとう助かる
あなた
私は現実逃避にお酒買ってくるね。
苗木 誠
………
苗木 誠
えっと、会社で酔いすぎないようにね……


彼は気まずそうに苦笑して、去っていく。
優しい彼だから、本当に駄目だったら
毛布とか買ってきそうだな。流石にしないか。
  現実逃避しよう。
私はひとまず財布を持って、
コンビニに向かうことにした。


◇


狛枝 凪斗
……………
あなた
……なんか、よく会うね? 私たち。


コンビニに入った瞬間、
丁度何か買い終わったのだろう。彼と出くわした。

狛枝 凪斗
………………そうだね。


彼はなんだか気まずそうに頬をかく。
狛枝くんの袋の中には飲むゼリーが入っていた。
徹夜するんだろうか。

あなた
固形物食べてる?
狛枝 凪斗
ほどほどには。キミは?
どうしたの、こんな夜に。
狛枝 凪斗
一人で出歩くのはもう
危ない時間でしょ。気をつけなよ。
あなた
お酒買おうかなって。
狛枝 凪斗
……買って、会社に戻るの?


狛枝くんは少し眉を顰めて、私を見る。
鞄を置いてきたからだろう。
スーツなのに財布とスマホしか持っていない私を見て、
少し怪訝な表情をした。

あなた
うん。家燃えちゃって。
狛枝 凪斗
は?

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