お、今日は終電間に合いそうかも。
デスクの壁にかけられている丸い時計を見て、
私は安堵の息を吐いた。久しぶりに、家に帰れる。
ぐぐ、と背伸びをする。背もたれがギィと音を立てた。
明日は休み。休みである。
コンビニでご飯と、甘いものでも買って帰ろうかな。
そう思って私はパソコンを閉じ、カバンを手に持つ。
それからなんとなくスマホを取りだして中を見ると、
ピコンと通知が鳴った。ニュースだ。
私の家、燃えたらしい。
◇
ニュースが放送されている。
私の住んでいるアパートが燃えたらしい。
住人の一人の煙草の不始末だとかで。
生放送で中継されているその様子はどこか他人事で、
パチパチと小さく聞こえる炎の音を聞いていた。
ぼうだとデスクでその様子を見ていたら、
後ろから聞きなれた声がしてゆっくり振り返る。
彼は「まだいたの」と驚いた様子だった。
今日、どこで寝ようかな。まぁ会社か。
何度かここで寝落ちしたり
帰れず寝たこともあるし、まぁ安牌だろう。
枕買っといてよかった〜〜。
正直疲れてるからお風呂入ってすぐ寝たかったけど、
まぁ未来機関にも
前線部隊が帰ってきたようにシャワーもあるし、
なんとかなるだろう。なって欲しい。
苗木くんは明らかに「うわあ」という顔をする。
意外と彼はこういう所がある。失礼である。
彼は気まずそうに苦笑して、去っていく。
優しい彼だから、本当に駄目だったら
毛布とか買ってきそうだな。流石にしないか。
現実逃避しよう。
私はひとまず財布を持って、
コンビニに向かうことにした。
◇
コンビニに入った瞬間、
丁度何か買い終わったのだろう。彼と出くわした。
彼はなんだか気まずそうに頬をかく。
狛枝くんの袋の中には飲むゼリーが入っていた。
徹夜するんだろうか。
狛枝くんは少し眉を顰めて、私を見る。
鞄を置いてきたからだろう。
スーツなのに財布とスマホしか持っていない私を見て、
少し怪訝な表情をした。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。