街を歩いていると、ランドセルを売っている店があった。
“天使のためのランドセル”
「4月からのお子様の素敵な一歩に」
という言葉が添えられて、そんなフレーズが書いてあった。
---------------------- 3年前 ---------------------
セラ「黒?」
母「そう、黒。」
父「なにか異論でもあるのか?」
セラ「…んーん、ない」
母「そう、じゃあこれで決まりね」
「ねー僕赤がいい!!」
横にいたおそらく同い年であろう男の子が、大きな声で母親にいった
「赤がいいの?別にいいけど…。アキラくんは青にしたって、ママから聞いたよ?」
「えっ、アキラ青なのー?!そっか、俺も青にしよっかな、、でもなあー」
「長く使うものだし、ゆっくり悩みなさい。」
父「思ったより時間がかかったな。このままだと稽古の時間を押してしまう、急ぐぞ。」
いつの間にかランドセルを買って戻ってきた父と母がいた。
セラ「あ、うん」
父から僕は真っ黒のランドセルを受け取ろ…うとしたが父は離さなかった。
代わりに、重い視線を向けてくる。
セラ「ありがとうございます。」
お礼を言うと、父は手を離した。父から手渡された真っ黒のランドセルは、軽かったけど重かった。
でも、黒のズンとした重みは、なんだか僕に似合っていた。
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「天使…」
3年前を思い返していた頭が、現実に戻ってきた。
(このランドセルが天使のためのものなら、僕が背負っていたあのランドセルは悪魔のためのものだろうか)
昨日言われた悪魔というセリフが頭を駆け巡る。
そう思うとより一層説得力を感じた。
世間では4月といえば、良くも悪くも取り巻く環境が変わる時期と言われる。
セラ「今年もなーんも変わらないんだろうな」
暗殺者にとっては、今が何月であろうと対して変わらない。今が何月かどころか、四季すら怪しい。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。