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第2話

10歳 - 二章
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2023/11/15 01:11 更新
街を歩いていると、ランドセルを売っている店があった。

“天使のためのランドセル”

「4月からのお子様の素敵な一歩に」
という言葉が添えられて、そんなフレーズが書いてあった。

---------------------- 3年前 ---------------------

セラ「黒?」

母「そう、黒。」

父「なにか異論でもあるのか?」

セラ「…んーん、ない」

母「そう、じゃあこれで決まりね」


 「ねー僕赤がいい!!」

横にいたおそらく同い年であろう男の子が、大きな声で母親にいった

 「赤がいいの?別にいいけど…。アキラくんは青にしたって、ママから聞いたよ?」

 「えっ、アキラ青なのー?!そっか、俺も青にしよっかな、、でもなあー」

 「長く使うものだし、ゆっくり悩みなさい。」


父「思ったより時間がかかったな。このままだと稽古の時間を押してしまう、急ぐぞ。」

いつの間にかランドセルを買って戻ってきた父と母がいた。

セラ「あ、うん」

父から僕は真っ黒のランドセルを受け取ろ…うとしたが父は離さなかった。
代わりに、重い視線を向けてくる。

セラ「ありがとうございます。」

お礼を言うと、父は手を離した。父から手渡された真っ黒のランドセルは、軽かったけど重かった。

でも、黒のズンとした重みは、なんだか僕に似合っていた。

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「天使…」

3年前を思い返していた頭が、現実に戻ってきた。

(このランドセルが天使のためのものなら、僕が背負っていたあのランドセルは悪魔のためのものだろうか)

昨日言われた悪魔というセリフが頭を駆け巡る。
そう思うとより一層説得力を感じた。

世間では4月といえば、良くも悪くも取り巻く環境が変わる時期と言われる。

セラ「今年もなーんも変わらないんだろうな」

暗殺者にとっては、今が何月であろうと対して変わらない。今が何月かどころか、四季すら怪しい。

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