優しくも厳しくもない声で背中を押された。
広い空間、笑い声が聞こえてくる。
室内なのに天井は青空のようになっている。
地面から木のようなものが生え、中心は特別大きな木がそびえ立つ。
窓が一つもないが、不思議と空気は新鮮だった。
ここに来て、衣服を指定された。
首には輪っかの機械がはめられた。
心拍音とかを測るものなのだろう。
真っ白の服、女の子はスカートのようなものらしいが、
私は特別にズボンにしてもらった。
床は人工芝生であり、裸足であることを指定される。
危険だと思ったが、手入れが行き届いていて、ごみ1つ落ちていない。
目的も無くただ歩く。
思ったより人数が多い、視界に入るだけでも50人はいる。
みんな楽しそうに友達と遊んでいた。
一箇所に人が多く集まっている。
笑い声で溢れ、祝う言葉が飛び交っている。
もちろん初日の私には入る隙はない。
人だかりから離れた場所に、
大きいドラム缶が積まれているところがあった。
誰かがいる気配もない、ここで時間を潰そう。
先生に渡されたノートをめくった。
ここは音楽専用幼稚園であるのたから、
発声方法や歌唱する時のコツが書かれてある。
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初めてしっかりと練習してみたが、
想像以上にひどかった。
音程はうまく取れないし、安定感がない。
ドラム缶の裏を覗いた。
私と同じくらい…?の男の子が座っていた。
男の子は何も言わずに、
体育座りでただ俯いていた。
存在自体に透明感があり、ふっと消えてしまいそう。
微かに視線が動いた。しかしまた俯く。
そこから会話が出てこない。
人見知りの私には少し馴れ馴れしいくらいの、
明るい人が話しやすいけど、
彼はその真反対である。
それだけ言うと彼は静かに去った。
かすかな音しか出さずに、
ふらふらとどこかに行ってしまった。
最悪なファーストコンタクトだった。
初っ端これは結構は辛すぎる。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。