第3話

誰かの誕生日
96
2026/07/20 02:27 更新



  最悪なファーストコンタクトが過ぎ、
  
  声出しの基礎練習を再開した。

(なまえ)
あなた
 あぁーーぁ゙っ、ケホッ 
(なまえ)
あなた
 ムズいな… 


  食いつくようにノートを見る。

  下手といったあの子を見返してやりたい。

ティル
ティル
 うおっ、人いる?! 

 
  ドラム缶からひょっこりと顔を出した。

  見た感じこの人も自分と同い年くらいだと思う。

(なまえ)
あなた
 うわ…じゃなくて、どうも 
ティル
ティル
 おい、うわ…じゃねぇよ 


  ジトっとつり目が睨んでくる。

  しかし怒りは含まれず、ただ不満気な感じであった。


ティル
ティル
 見たことねぇヤツだな
 今日来たのってお前のことか? 
イヴァン
イヴァン
 ティルー誰と話してるの? 


  男の子の後ろからまた誰か現れた。

  手前の子より数cm高く、黒髪のモテそうな男の子。

  目が合うと微笑んでくれた。

  しかし目線はすぐ外され、手前の男の子に向けられる。

イヴァン
イヴァン
 あー先生が言ってた子か、 
 初めましてイヴァンです
(なまえ)
あなた
 あなたの下の名前です、初めまして 
 これからよろしくお願いします 
ティル
ティル
 俺、ティル 
 なんかあったら聞いてくれよ 
(なまえ)
あなた
 あ、ありがとうございます 


  変な人っぽいがいい人そうだ。

  あまり男の子と話したことないから、

  接し方がぎこちなくなりそう…。

ティル
ティル
 お前何歳? 
(なまえ)
あなた
 16です 
ティル
ティル
 同い年じゃん。タメでいいよ 
イヴァン
イヴァン
 俺17、1つお兄さんだね 


  やはり年は近かった。

  それだけで安心感がある。


(なまえ)
あなた
 あの…ここに入った時に
 人だかりがあったんだけど 
(なまえ)
あなた
 あれは何だったの? 
イヴァン
イヴァン
 あー俺のことかな? 


  イヴァンがティルの背中から体全体を出す。

  彼の手にはたくさんのプレゼントがあった。


イヴァン
イヴァン
 今日誕生日なの
 皆が祝ってくれたんだよね 
(なまえ)
あなた
 そうなんですか。
 おめでとうございます 
イヴァン
イヴァン
 入園日と誕生日が一緒だね〜
 もっと忘れられない日になった 


  にこにこと優しい眼差しを向けられる。

  しかし、どこか見定められてるのを感じる。


(なまえ)
あなた
 (…気のせいかな) 
ティル
ティル
 今日初めてってことは
 まだ話せるやついねぇだろ? 
ティル
ティル
 あっちの人がたくさんいる所に 
 連れてってやろうか?


  指さす先には、楽しそうに遊んでる子ども達の姿。

  あそこに入るにはまだ勇気がない。


(なまえ)
あなた
 いや…人見知りでさ
 ちょっと難易度高いかなぁ 
ティル
ティル
 …?そうか?
 別に緊張することないけど 
イヴァン
イヴァン
 ゆっくり慣れていけばいいよ 
ティル
ティル
 あ!じゃああいつ紹介するか。 
 すげーいい子なんだぜ!


  目がキラキラと輝いてる。


  私の返事も聞かずに、

  その子を探しに行ってしまった。

(なまえ)
あなた
 え… 
イヴァン
イヴァン
 突っ走るねティルは 


  まさかの2人きりにされた。


  イヴァン、、?だっけ。

  ちょっと胡散臭くて少し苦手意識あるんだけど。


イヴァン
イヴァン
 もーあいつは本当に… 


  そう言ってティルの背中に釘付けになっている。


  その時に察した。


  この人ティルを目当てに、 私に近づいてきたのでは。

  なにかと視線は彼に向けられ、私に興味を持ってる素振りがない。

  そう思うと腹立だしくなってくる。


イヴァン
イヴァン
 … 
イヴァン
イヴァン
 俺のこと苦手でしょ 

(なまえ)
あなた
 …え 


  横目でこちらを見ている。

  それほど感情が表に出るわけではない。


  彼の口角が微かに上がった。


イヴァン
イヴァン
 そーゆーの分かるんだよね 
イヴァン
イヴァン
 君、からかいがあるかも 
(なまえ)
あなた
 いや、止めてください… 
イヴァン
イヴァン
 あははっ冗談だよ、たぶん 


  微かに目つきが変わった。

  私に対して1ミリだけ興味が生まれたような。


  ここは厄介な人しかいないかも。


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