日中活動するにも動きやすくなった頃、疲れた時とこの時期だけ頻繁に通う喫茶店に行く。
私の通う喫茶店は隠れ家的な要素があり、路地裏にひっそりと存在する。
ここのカフェラテは他のお店とは違い、お客様の気分によってブレンドを変えてくれる。
今日もまた、いつもの席で作業をする。
マスターにコーヒーを頼んでいる間に席に荷物を置いて、受け取り口に戻りいつも通りおしゃべりをする。
私がここ数年通って初めて見るお客さんで、帽子にマスクをしていてどんな表情をしていたか分からなかったけど、声のトーンはとても低くて何か思い詰めているような気がした。
コミュ力が高いわけでも低いわけでもないけれど、マスターからのお願いとあらばやってみるしかない。
自分の分のカフェラテと、その男性の分のコーヒーを持って一旦、荷物を回収して、せっかくの角席に別れを告げて男性にコーヒーを届ける。
どこか聞き慣れた声に疑問を持ちながらも、マスターのつける独特なコーヒーの匂いについて話していると何か閃いたのか、一瞬彼の顔が明るくなった。
そう言う彼に「苦悩」と「哀愁」と言う単語を伝えるとPCを開き出し、なにか作業を始めた。
マスターの方を向くとグッドサインを出していて、私には全くなんのことだか分からなくて、頭の上にはてなマークを浮かべていた。
私はトートから一冊の本を出して、読み始めた。
本を閉じて、腕を伸ばしながらチラッと横を向くと彼はもうPCを閉じていた。
彼のコーヒーはアイスでカランと鳴る氷の音が私には爽やかすぎた。
頭を抱えていたその男性は、コーヒー1つを飲んで颯爽と帰っていった。
まるで嵐のような人だった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。