第4話

呼ばれた“二人目”
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2026/03/02 22:35 更新








学園長
私はディア・クロウリー。由緒正しき魔法士養成学校、ナイトレイブンカレッジの学園長です
あなた
ないとれいぶんかれっじ…?魔法士養成学校……?


魔法士って、いわゆる……魔法使い??

いや、待て。魔法ってどういうこと??

学園長
ええ。選ばれし者だけが入学を許される、由緒ある学び舎ですよ
あなた
………いや、いやいや。私、そんなの志望した覚えないんだけど


クロウリーは杖をくるりと回す
その所作ひとつひとつが、どこか舞台役者のように優雅だ

学園長
まあ、騒ぐなと申しても無理ですよね。棺からいきなり出てきたのですから


あ、本当に棺に入ってたのか……

学園長
しかし、おかしいですねぇ……あなたは確かに“選ばれ”、そして棺に導かれたのですから
あなた
棺に“導かれた”ってなに?拉致じゃん…
学園長
拉致とは人聞きの悪い。これは伝統的な召喚儀式です
あなた
儀式!?
あなた
ふざけないで、状況説明してよ。今すぐ


クロウリーは仮面越しに、じっとこちらを見る

学園長
……ふむ。落ち着いてください。武器は持っていないでしょう?
あなた
素手で十分
学園長
おやおや、怖いですねぇ


彼は軽く杖を振る


学園長
警戒心が強いのは良いことです。しかしここで暴れては、せっかくの高価な調度品が壊れてしまいます
あなた
知らない
学園長
困りましたねぇ……実に困りました


わざとらしくため息をつく

学園長
では、単刀直入に。あなたはこの世界――ツイステッドワンダーランドに召喚されたのです
あなた
………は?


クロウリーは軽く手を掲げ、部屋を見渡す

学園長
どうやら、落ち着かせるのは私の仕事のようですね。まずは座りましょうか
あなた
座る……?
学園長
ええ、こちらは私の執務室。ここで話をすれば、少なくとも怪我はしません
あなた
……怪我って、アンタ、何考えてるんだ
学園長
考えているのは、あなたがこの奇妙な状況に慣れることだけです


彼は杖を床に立て、背筋を伸ばす
羽根飾りのついた外套が揺れる

学園長
驚かないでくださいね。まず、これから少しずつ 学園のことをお教えてあげましょう
学園長
私、優しいので!!
あなた
……………


心の奥で戦闘態勢を解きながらも、好奇心が芽生える
ここが本当に“学園”なのか、まだ半信半疑だが――



あなた
………分かった、とりあえず座る


目の前の椅子に座ると

クロウリーはゆったりと椅子に腰掛け、杖を床に立てたままこちらをじっと見る

学園長
……さて、まずお聞きしましょう。お名前は?
あなた
…………あなたの名字あなた


名前を聞かれた後、
少し間を置き、ため息混じりにクロウリーは言った


学園長
………あなた、もしかしてニホン、という国から来たのでは?
あなた
!……そうだけど、何で知ってんの?


思わず声が上ずる。棺の中から目覚めて、いきなりここまで話が通じるとは思わなかった
 


ここが異世界なら、日本なんて存在しないはず……
なぜ、この男は知ってるんだ?


クロウリーは仮面越しに軽く頷く


学園長
やはり、そうですか……
あなた
学園長
つまり、あなたは二人目・・・の異世界人……ということになりますね




二人目?二人目って……



あなた
それ、どういうわけ…?
あなた
……ていうか、どうして私が私がニホンから来たって分かった?


思わず聞いてしまう

学園長
ええ、いくつかの手がかりからですね


クロウリーは杖を軽く回しながら、淡々と言う

学園長
服装、言葉遣い、そして棺の扱い方……すべてが示していました
あなた
……棺の扱い方って、どういう意味?


思わず眉をひそめる

学園長
ふふ。些細なことです


クロウリーはわざとらしく肩をすくめ、にやりと笑う

学園長
ともかく、あなたは二人目の異世界人であることに間違いありません

頭が混乱する。棺に閉じ込められていたこともまだ信じきれないのに、今度は二人目だと?

クロウリーは杖をくるりと回し、軽やかに微笑む

学園長
この学園には、かつて一人、あなたと同じ“元の世界”から来た生徒がいました
あなた
元の世界……
って、つまり私と同じニホンから?
学園長
ええ


クロウリーの声が少し柔らかくなる

学園長
彼は今、この学園の監督生として生徒たちをまとめています。非常に優秀で、頼もしい人物です
あなた
優秀な監督生……
学園長
学園の規律を守り、生徒を導く立場です


少し頭を傾げる。まだ想像が追いつかない

学園長
彼もあなたと同じく異世界から召喚されました。最初は戸惑ったようですが、やがて学園に溶け込み、中心的な存在となったのです
あなた
……はあ


小さく息を吐く。胸の奥に少し希望が芽生える

あなた
………それで、私は元の世界に戻れるんだよな?
学園長
分かりません


空気が、ぴんと張り詰める

あなた
……今、何て言った?
学園長
ですから、分かりません、と
学園長
今、こちらの方でも調べてはいるのですが……まだ何も掴めてないので
あなた
ふざけんな


声が低くなる

あなた
勝手に呼んどいて、戻れない?冗談じゃない


クロウリーは両手を広げる

学園長
ええ、ええ、お気持ちは分かります。ですが事実なのです。私も心苦しいのですよ?
あなた
顔見えないくせに何言ってんの
学園長
おや、手厳しい
あなた
…………


一瞬の沈黙

あなた
……じゃあさ


私は椅子から立ち上がる

あなた
ここであんた倒したら、元の世界に帰れる?
学園長
それは難しいでしょうねぇ


即答。なんか、ナメられてるよな……

学園長
なぜなら、魔法が使えない可能性がある、特異点
あなた
ん?
学園長
ですが安心してください!


急に声のトーンが上がる

学園長
慈悲深い私は、あなたを見捨てたりしません!きちんと居場所を用意しましょう!
あなた
いらない
学園長
いります
あなた
いらない
学園長
いります


しばし睨み合い。蝋燭の火が揺れる

クロウリーが、にこりと笑う気配を漂わせる

学園長
あなたさん、まずは学園生活に慣れることが先決です


クロウリーは椅子から立ち上がり、杖を軽く床に立てる

学園長
監督生に会うことから始めましょう。彼なら、あなたを歓迎してくれるでしょう
あなた
………信用できない
学園長
それはお互い様ですよ
あなた
……………分かりました。
でも、会うだけですからね


私は息を整え、拳を軽く握った
ここから何が始まるのか分からない――だが、確かなことが一つある



棺から目覚め、見知らぬ学園に立った瞬間から、
自分の物語は、もう止められないのだ




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