放課後の図書室
光がちょっとだけ傾いててカーテンがゆらゆら揺れてた
机と椅子の隙間に風が抜けて、紙のめくれる音が小さく響いてる
ウナクはすでに窓際の席に座り、参考書を開いてた
首をかしげながら問題を見つめて口をとがらせる
wh ん~…わかんない、
そんな声を小さく漏らしてると後ろの扉が開いた
jh ウナガ
柔らかくて甘い声。ジェヒョンだった
jh 待った?
wh んもー、遅いですよ
jh ごめん笑 忘れてると思った?
wh まあ、少しだけ
ウナクがむくれて言うと
ジェヒョンはふわっと笑ってウナクの頭をひとなでした
jh バカ、俺がお前のこと忘れるわけない
それだけでウナクは機嫌を戻して
ぺたっととなりの席を叩いた
wh ここ、ちゃんと取っておいた
jh うん、ありがと 笑
ジェヒョンは荷物を置いて、ウナクのノートをのぞき込んだ
jh どこ?わかんないとこ
wh んー、ここ、全滅
ウナクが指さすとジェヒョンは頷いて
丁寧にペンを取り出した
教科書のページをめくって
図を書きながらゆっくり説明してくれる
jh これがさ、こうなるから..
wh うんうん、うん、…
ウナクは感心したように頷いてたけど
ジェヒョンがふと目をやると途中で反応がなくなってた
jh …ウナガ?
横を見るとノートにペンを置いたまま
ウナクが机に腕を乗せてそのまま目を閉じてた
まあ、いつものことだけど
少しだけ口が開いてて、長いまつ毛が風で揺れてる
jh また寝てるし 笑
ジェヒョンは苦笑いしてノートを閉じた
その無防備な寝顔を少し嬉しそうに見つめてる
jh 暑かったもんな、今日
そっと制服の襟を整えてあげて
ウナクの前髪を指でよける
額に触れないように、でも撫でたくて
仕方ないような距離で手を止める
jh ほんと、なんでそんな無防備なの、
目を細めて、眠るウナクの指先に自分の指をそっと重ねる
jh すきすぎて困るんだけど
ウナクの眉が少しだけ動いて
でもまだ目は開けない
jh …起きてる?それか夢で俺の声聞こえんの
答えはなかったけど
ウナクの口元がすこしだけ笑ったように見えた
ジェヒョンはそれを見て小さく息をついて笑った
jh 起きたらまた教えるから
ペンをもう一度持ち直してウナクのノートを開く
となりで寝息を立ててるウナクに
何も言わず、ただ静かにページをめくった
教えるつもりで来たはずなのに
気づけば隣で眠るこの子の存在が
何よりも癒しになってた
誰にも見つからないように
誰にも聞かれないように
jh …ウナガ、好きだよ
その言葉は風の音に紛れて、そっと図書室に消えてった
ウナクが目を覚ましたのは
教科書のページをめくる音だった
扇風機の風がまだゆるく回ってて
外は少しだけ夕焼け色に染まってた
wh …ヒョン、
jh お、やっと起きた
wh すみません、寝てた
jh うん。可愛かった
ウナクは顔を伏せてた腕にぎゅっと目を押しつけた
wh …聞こえてた
ジェヒョンが一瞬止まった
jh …は、どこから
wh “すきすぎて困る”ってとこ
ウナクは目を合わせずに言ったけど
頬がほんのり赤くなってた
jh うわー、まじか、笑
ジェヒョンは苦笑しながら手で自分の顔を覆った
jh なんで寝たふりしてたの
wh 寝てたけど途中で起きてた
jh ずる
ふたりは少し黙って、それからふっと同時に笑った
wh ヒョン
jh ん?
wh すきって言われたの 何回目かも数えきれないけど
wh …今日のやつがいちばんうれしかった
ジェヒョンは今度は何も言わずに
ウナクの頭をくしゃっと撫でた
jh じゃあ次も聞かせてあげる
wh 毎日でもいい?
jh 毎日言わす気?
wh うん 何回聞いても嬉しい
ジェヒョンは照れ隠しみたいに
ウナクのほっぺを人差し指で軽く押した
jh じゃあちゃんと起きてるときに聞けよ 笑
ウナクは少し笑って、その指を軽く噛むフリをした
wh ヒョン甘すぎ
jh 知ってる ウナガ限定
そう言ってジェヒョンはもう一度ウナクの髪を撫でた
図書室はもうすぐ閉まる時間だけど
ふたりはまだその席から立つ気配はなかった
この時間が終わるのが、もったいなくて
誰よりもここにいたいと思ってたのは
たぶん2人とも同じだった
end












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。