第2話

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2025/04/12 03:00 更新
ユジン
今日、あなたさんが来たんですか?
ハオ
よかったね!
ギュビン
暫く会ってないんじゃない?
リッキー
……うん

ZEROBASEONEとしてデビューしてしばらく、韓国でのイベントが行われた。

そこに、メンバー何人かの家族が遊びに来るらしい。

リッキーは、母親と妹は来れないが、代わりを頼まれたあなたが来てくれると報告が入り、メンバーたちは真っ先に喜んだ。

ジウン
あれ?
ジウン
妹?それともお姉さん?
リッキー
どちらかというと、妹、みたいな
ゴヌク
聞いたこと無いよ
テレ
一回、どこかで聞いたような
マシュー
ボイプラの後じゃない?
ハンビン
久々に会えるなんて、よかったじゃん

無事にイベントが終わり、裏で家族と合流したメンバー。

他の招待客に紛れ、スタッフに連れられたあなたの姿が見えた。
リッキー
「あなた」
あなた
…………
リッキー
「あなた」
リッキー
「久しぶりだね」
あなた
「うん」

2人の英語での会話が始まったが、両者とも顔は暗く、目が合わない。
リッキー
「高校、やめたんだってね」

リッキーの言葉に、あなたの眉がぴくりと反応した。
あなた
「そうだよ」
あなた
「それがなに」
リッキー
「何でやめたの」
リッキー
「というか、今、どこで暮らしてるの」
あなた
「質問ばっかり」
あなた
「高校をやめたのはリッキーもでしょ」
リッキー
「こうやって夢を叶えるためだよ」
リッキー
「有言実行もしたけど」
リッキー
「そっちはどうなの」
あなた
「言う義理は無いでしょ」
リッキー
「言わない理由は何」
あなた
「言う必要が無いから」

2人の間にピリピリとした空気が流れ始めた。

睨み合うように会話を続ける。
リッキー
「言ってくれてもいいでしょ」
リッキー
「家族みたいなものじゃん」
あなた
「形だけだよ」
リッキー
「今日、あなたは家族として招いたんだよ」
あなた
「頼んでない」
あなた
「あの2人に頼まれて来ただけ」
あなた
「仕方なく」
リッキー
「それはどうなの」

2人の顔が険しくなった。

睨み合いが寄り険悪になる。
リッキー
「頼まれたとはいえ、招かれて来たんじゃないか」
あなた
「来ないとあの2人がうるさいから!」
リッキー
「俺の意見はどうなるんだよ」
あなた
「そんなの知ったこっちゃないよ!」
あなた
「嫌味か?!」
あなた
「自分は特別で!」
あなた
「恵まれてて!」
あなた
「特別に選ばれて!」
あなた
「その自慢か?!」
リッキー
「っ違う」
リッキー
「今の俺を、見て欲しくて」
あなた
「それが最高に嫌味だって言ってるの!」

2人の会話がヒートアップしていった。

リッキーのいつもの姿からは想像できないぐらい、饒舌に、悪い言葉がその口から次々に流れ出る。

あなた
「お坊ちゃまくんには一生分からないよ!」
あなた
「何も持たない」
あなた
「選ばれない側の人間の気持ちは!」
リッキー
「俺はここに至るまでに死ぬほど努力したんだ!」
リッキー
「何度も挫折しかけたし」
リッキー
「辛い思いも何度だってした!」
リッキー
「何人も去る中で、必死に食らいついてきたんだよ!」
あなた
「元から持ってないとその努力も実らないんだよ!」
あなた
「芸術から逃げた臆病者が!」
リッキー
「逃げてない!」
リッキー
「この道を選んだだけだ!」
あなた
「うるっさい!」

スタッフやマネージャー、ハンビンやジウンが2人の声に慌てて駆け寄る。

極まったあなたが右手を振り上げた。
リッキー
「残念だったね」
リッキー
「もう、やられっぱなしのお坊ちゃまくんじゃ、ないよ」

随分と鍛えたその腕で、二回りは小さいその拳を受け止めた。

あなたは目を丸くして、彼の手を見た。

だがすぐにハッとして離れた。

そのまま、何かを叫んで、脱兎の如くその場を逃げ出してしまう。
ジウン
ハンビン
ちょっ
ゴヌク
リッキー!
マシュー
喧嘩?
テレ
どうしたの
ユジン
……ヒョン?

聞いたことの無い言語では無かった。

でも、早口で捲し立てていたから、まだ初心者のメンバーたちは、何を言っていたのかさっぱり分からなかった。

だがリッキーとジウンは、呼吸を止める程のショックを受けた。

先にジウンがリッキーのもとに駆け寄った。
ジウン
リッキー!
ジウン
……今の、聞こえた?
ジウン
分かった……?
リッキー
………
リッキー
はい

彼にしては珍しく、雰囲気が暗くなり、深く下を向いてしまった。
ギュビン
どうしたの、ねえ
ハンビン
日本の子なの?
ハオ
やっぱり、今の日本語だった?
ジウン
今はとりあえず、戻ろう
ハオ
リッキー、大丈夫だよ……

目に見えて弱々しくなったリッキーを、他のメンバーが囲んで、慰めた。

家族が来ていたメンバーは彼らに別れを告げ、皆で揃って帰路についた。

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