-attention-
・⚔️が🦊✌️に対して激重感情を抱いています。
・解釈違い等自己責任でお読みください。
・書いているうちによく分からなくなってしまったので雰囲気をお楽しみください。
*閲覧前に必ずあらすじを御一読ください*
彼は、どうしようも無く優しい人でした。
僕の様な愚か者にもそれは同じで、陽だまりの優しさを持つ彼に惹かれるのはそう疑うような事ではありませんでした。
それと同時に、どうしようもなく腹が立ちました。
彼の蝋燭の様な優しさが他人に消費される度、彼ばかりが磨り減っているような気がして、無性に苛立ちを覚えたのです。
暖かさに触れる度、僕に呼びかける度、恋は募るばかりで、僕のような人間にとって優しさは時には毒になる事を知りました。
目を閉じれば、彼の向日葵の様な笑顔が鮮明に描かれます。
雨の日には、2人でびしょ濡れになったあの日を。
春になれば、桜の花弁がよく似合う彼の亜麻色の髪が思い出されます。
夏は言わずもがな彼の季節で、誰よりも、何よりも、彼は夏が似合う人でした。
秋には、2人きりの帰り道、固く結んだ暖かい掌と、赤く染った彼の鼻。
10年振りの大雪が降ったあの冬、周りがあまりの雪で家に篭もる中、僕達だけは外に出てかまくらを作ったっけ。
3時間もかけたかまくらの中は案外暖かくて、調子に乗ってゲームなんてするものだから2人揃って風邪をひきました。
そんな平凡が、日常が、僕にとっての幸せそのもので。
彼にとっての僕は友人の中の1人に過ぎないと理解しているのに、彼の口から相方という言葉を聞く度に都合の良い勘違いを繰り返しました。
もしかしたら、自分は彼の特別になれるのでは無いか。
そんな淡い期待、持つだけ無駄なのに。
どうしようもなかったのです。
それ程までに、あの陽だまりは暖かかったのだから。
ある夏の夜だった。
朝のニュースから今日は熱帯夜になると言われていて、その予報は大当たり。
蒸されるような暑さに、息苦しい程湿度の高い空気。
エアコンはわざとつけなかった。
なんとなく、今日だけはこの重い夜に押し潰されてしまいたかった。
文明の利器にも頼らなければ、そんな夜に寝られるはずもなく。
そよ風すら通らない窓を開け放ち、ただぼんやりと、曇り空を眺めていた。
星も月も雲に隠れ、光は見当たらない。
じっとりとした汗が首筋を伝っていく。
もしも月が2つあったなら、人はもう少し月をぞんざいに扱ったのだろうか。
もし彼のような人がもう1人いたら、僕はこんなにも彼に惹かれることにはならなかったのだろうか。
恋は盲目なんて言うけれど、僕のこの感情は恋とも呼べない。
彼の暖かさが僕以外の人に向けられる度、どうしようもない歪んだ感情が募るようになった。
君に救われていいのは、あの陽だまりを知っているのは僕だけなのに。
いつしか、僕以外に向けた彼の笑顔さえ鬱陶しいと感じるようになっていた。
僕に向けたあの向日葵のような笑顔はあんなにも美しく、愛おしいのに。
他者に向けた途端にそれらの感情は形を変え、歪になっていく。
どうして、僕だけを救ってくれないの?
愛と呼ぶには醜く、執着と呼ぶには美しすぎるのだ。
彼は、あまりにも眩しかった。
僕は永遠に暗闇を歩むべきだったのに、眩さに手を引かれてしまった。
生きる意味という光を、見出してしまった。
月は、太陽がないと生きていけない。
柔らかな笑みと共に、誰の為でもない独り言が、深い夜にこぼれる。
「…ねぇ、ガクくん。」
責任、取ってね。
*気分次第で続き書きます












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。