あなたside
日本に戻ってきて1ヶ月
生活にもバイトにも慣れてきた
でも蓮くんと会えたのは帰国した日だけで
あの日以来、彼の顔を見れるのは画面越しだけ
声だってそうだ
スケジュールがわからない以上
私から電話をかけることなんてできない
既読がつきそうにないトーク画面を閉じて
私はバイト先へと向かった
『おはようございます!』
「あなたちゃんおはよう」
優しい笑顔を向けてくれたのはマスターで
身支度をしてホールに出た
マス「あっ、そうだ。今日カメラ入るから貸切にしてあるよ」
『なんかの撮影ですか?』
マス「どこかのアイドルが来るとか来ないとか…俺にはわかんないなぁ」
それから数分後
カラン、と音を立ててドアが開いた
『えっ、』
偶然って、こういうことを言うんだと思う
入ってきたのは男性9人で、
その中のひとりは私の彼氏だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。