第4話

秘めてた思い
261
2023/07/24 07:55
蘭はあの後、すぐに自分の部屋へ戻った。
家族に、あの場にいたことがバレる前に。
石井蘭
石井蘭
家族に…心配されることは、嫌じゃないし…気遣ってくれて、嬉しいんだけど…
石井蘭
石井蘭
ちょっと、辛いな…
そして、今日もまた、手帳を開き、日記を書く。
体に傷をつけてはいけない仕事なこともあり、リスカはできない。
だから、私にとって、この手帳に思いっきり思いをぶつけるのは、リスカと一緒。
手帳
◯月◯日
今日は、家族が蘭のアンチについて話してるところ、聞いちゃった…
今日が初めてなのかな…
それとも、これまでもやってきてたのかな…
でも、心配してくれて、気遣ってくれて、ありがとう。って気持ちは、忘れたくないな。
この先何があっても。
そう書いて、私は机の上に手帳を置いておいた。
ドア
コンコン
石井鈴
石井鈴
蘭ちゃーん?
石井鈴
石井鈴
いるのー?
家族で会議を終えた後、蘭ちゃんがまだ帰ってきていないことに気づき、部屋を見にきた。
家の間取りとして、リビングを通らなくても、玄関から部屋に直行できるから。
いるのかなー?って。
ドア
カチャ
ドアノブに手をかけると、鍵はかかっていなく、開いていた。
ドア
ガチャ
私は申し訳ない気持ちもありながら、ドアを思いっきり開けた。
そして、暗い部屋の中、ベットに寝転んでいる蘭ちゃんを見つけた。
石井鈴
石井鈴
何だぁ〜
石井鈴
石井鈴
いるなら、返事してy…
蘭ちゃんは、座ったまま寝ていた。
相当、疲れているんだろうな…
石井鈴
石井鈴
今日も、お疲れ様。
私は、蘭ちゃんは本当にすごいと思う。
好きなことを仕事にして、お金貰ってて、“ずるい”とか言ってる人いるけど、それは絶対違うと思う。
だって、好きなことを仕事にするって、自分が得意だと思っていたことを批判される覚悟がいるんだよ?
アンチで傷つくし、認められないと辛いし。
そして、机に目を落とす。
石井鈴
石井鈴
っ…何これ…
手のひらサイズの赤い手帳。
開かれていたページには、たくさんのことが書かれていた。
パラパラとページをめくっていく。
すると、近日の方の日記はぐちゃぐちゃに書かれていることがわかる。
石井鈴
石井鈴
これが…蘭ちゃんの気持ち?
“死にたい”
“辛い”
“やめたい”
“苦しい”
“上手くいかない”
たくさんの言葉に目が止まる。
そして、ある日の日記を見て涙が出てきた。
手帳
◯月◯日
もうさ…希望って何?
蘭に希望なんてない。
三池監督も今日絶対思ってたよね。
“期待はずれ”って。
蘭がいる意味って?
蘭が生きる意味って?
蘭じゃなくていいんじゃない?
蘭の代わりなんていくらでもいる。
蘭なんて、いなくていいよ。
いなくていいに決まってる。
やっぱり、何も上手くいかないよ。
石井鈴
石井鈴
何これ…
石井蘭
石井蘭
ピクッ
石井蘭
石井蘭
鈴ちゃん?!
石井鈴
石井鈴
ねぇ、蘭ちゃん。
私の泣き声で起きた蘭ちゃんに、私は強い声を出して歯向かう。

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