悠佑side
俺がした約束、というのは…
そう。軽音部の後輩がやるライブである。
「俺ボーカルなんです!」とか、
「あにきに愛を伝えますっ!」とか言われたら、
後輩の勇姿を見ない訳にはいかない。
彼女の笑顔に安堵した瞬間、体育館のライトが消えた。
周りがざわめく音。
ステージにみえる人影。
突然着いたステージのライト。
…さぁ、始まりだ。
〜♫
歌っているのは最近流行っているポップス。
ギターアレンジもされており、ライブの一発目に適した明るい歌だ。
…上手くなったなぁ、あいつらも。
しみじみとしていると、1曲目が終わった。
MCも挟みつつ、そんな感じで続いていき…
周囲からは嘆きの声。
…いやライブハウスかよ。
最後の曲は何になるのか、なんて思いつつ後輩の顔を見る。
…あ、目が合っ、
きらきらと嬉しそうな顔をしながら俺を呼ぶ後輩。
…素でやってんねんで?あれ。ずるいわぁ…()
しかし、呼ばれたからには行きたくなってしまう俺。
隣にいるあなたの名字の顔を覗いてみると、
笑顔で送り出された。
嬉しいのが顔に出ていたらしい。
…よし、行くか。
…久々のステージ、緊張するなぁ。
提示されたのは様々なジャンルの10曲。
きっと、軽音部の俺をよく知る奴らには ロックを歌うと思われている。
ただひたすらかっこいい歌を。
しかし、俺はこの曲を選んだ。
君に、この思いが届きますように。
この片思いが、叶いますように。
歓声が響く中、俺たちは客席へ手を振りステージを後にした。
そんなふうに、楽器運搬を手伝いながら雑談していると、後ろから他の後輩に小突かれた。
…まさか、そこまで見られていたとは。
幸い、ステージが終わってからまだ5分も経っていない。
早く迎えに行って、シフト交代行かなあかん…!
2人で、教室へ駆け出した。
続く…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。