リューヌside
さて、ロロと交代で対セラ陣営に来たわけだが…
うん。とんでもねぇ勘違いメンヘラ女だ。
親友なんてOnlyメンバーでも言われないのにお前に言うわけないだろとツッコミたくなったが、俺がツッコむのはそこじゃない。
ステラ…俺も同じこと思ってたよ。リズはこんな奴と一緒にいてはいけない。やってやろうぜ…俺達、
「夜空組」で!
俺はそう言うとスライドで距離を詰めにかかる。セラのワイパーはインクがどこに飛んでいくか分からない。アルの必殺に似てる気もするが、とりあえず当たったらエグいことはすげぇ伝わってくる。
マジかよ…俺の事知らねぇの?!自分で言うのは嫌だけどバンカラ街でリューヌと言ったらInk in mouthのリューヌだろうよ…そうそういねぇぞこれ知らねぇ奴…
もしやこいつ、勘違いメンヘラに加えて世間知らずか?勘違いメンヘラ世間知らず女だったのか?!
決めた。ムカつくからこいつにもInk in mouthをお見舞いしてやろう。知らねぇなら教えてやらないとな。
そして、スライドの勢いでデュアルの片方を伸ばし…
伸ばしたデュアルをワイパーで叩き落とされてしまった。衝撃でブキを手放してしまって…ん?デュアルどこだ?
俺の愛用デュアルの片割れは、真っ二つになっていた。
その瞬間、俺の中で何かが切れる音がした。
残ったのはもう片方のみ。これでどう戦うかだな。
ステラもガチギレしてマルミサをぶっ放す。こんな奴とリズは何としても離さないといけない。
言い忘れていたが、ステラのマルミサ発射速度は普通のイカたちとは比べ物にならないくらい速い。ハイカラスクエア時代にロンネクで1試合に16回マルミサを撃った経歴を持つロロの指導のおかげだろう。
そのため、セラは思ったより早く飛んできたマルミサを避けきれず少し被弾したのだ。
ステラがいい感じにヘイトを集めてくれたおかげで俺はセラの背後に回ることができた。そこから素早く首を絞め、必殺の準備に入る。
突然の攻撃に戸惑うセラを気にとめず、俺はそいつの口にデュアルを突っ込んだ。
Ink in mouth-Bloodmoon…特殊なインクを使ったInk in mouthで、従来はただの被弾ダメージを口から喉にかけて与えるだけだったのが、喉を内側から切り裂かれたような痛みを与えるようにした改良版だ。インクの感触も従来とは違い、より強い不快感としつこさを持たせた。
この特殊なインクは血液に近い色をしているため、攻撃を喰らってインクを吐き出す時に吐血しているように見える。加えて俺の名前の「リューヌ」はどこかの言語で月という意味だ。そこで「ブラッドムーン」と名付けたわけだ。我ながら良いネーミングセンスだと思う。
そして、この特殊インクにはもう一つ性能がある…。
そう、このインクにはポイズンミストの成分が含まれている。しかも結構強力なやつ。強烈な痛みと相まって被弾者は動けなくなるのだ。
これによってセラは完全に敗北し、俺の様子を見ていたステラが超絶ドン引きしていたのは言うまでもない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。