街を朝日が照らす。
小鳥がさえずり、波が歌う。
騒がしい目覚まし時計の音。
窓を開ければ、風が磯の香りと昨夜の雨の匂いを運ぶ。
鼻をくすぐる朝の匂いだってしてくる。
誰かが廊下を慌ただしく駆け抜ける音も。
「次のニュースです。
ここ横浜は、
全国で最も交通事故が多い都市になりました。
また、今年に入ってからの死亡事故件数は178件で、
十二年連続でほぼ横這いとなり、県警は対策を急いでいます。」
明るい日差し。
飛び交う笑い声。
元気な子供たちの声。
走る自動車のエンジン音。
時折鳴る忠告音。
店の明るい接客の声。
勝負に負けて啜り泣く声も、勝って笑う声も。
風に乗る磯の香り。
遠い汽笛の音。
恋人たちの甘い声。
産声と喜ぶ親の声。
燃え上がる炎と死を悼む涙。
街に飛び交う「おはよう」の声。
足早に通り過ぎていく大人と笑って駆け抜ける子供。
朝日を跳ね返す窓ガラス。
カランと音を立てるベル。
あちこちで始まる開店準備。
路地裏に響く銃声と悲鳴。
走る閃光。
爆ぜる空気と転がる空薬莢。
立ち込める硝煙と鉄と死のにおい。
冷えるカラダと広がる生温い朱い海。
黒い笑みを浮かべる大人と泥に塗れた子どもたち。
日の下に出せぬ穢れた宝石。
型落ちした銃器。
冷たい炎を瞳に、重い銃を片手に、洗えぬ罪を身体に。
光を許さず、刹那の緩みも見せぬ闇。
温度のない声。
バタバタと駆け抜ける足音。
染み付いた鉄と硝煙。
穢れに染まった身体もまた朱い。
語り継がれる嘘。
抹消される真実。
罪の受け皿は罪を罪で洗う。
太陽が西に沈み、月が東から昇る。
月が沈めば日は昇る。
晴れた日にはいい天気だと云い、
雨の日には悪い天気だと云う。
風が吹き、草木がそよぎ、葉が軽い音を立てる。
この街に、何時も通りの日常が流れている。
誰も、その日常に舞台裏が在るなんて思うことすら無い。
何故なら、其れが常識だから。
「全世界は舞台であり、男も女も皆ただの役者にすぎない」————William Shakespeare
合作先の作品です。
是非読んでみてください。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。