第15話

案内
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2026/04/26 15:00 更新
 パーティーを無事に終え、

 ターゲットに自然に近寄る。
あなた
お待たせしました
いいえ、大丈夫ですよ
 彼はどうしたんですか?

 なんて、わかりきった質問も、

 決めたとおりに答える。
あなた
先に帰ってもらいました。粘られちゃいましたけど
そっか。いい子だね
 するりと腰を撫でられ、

 この手が中也のものだったら、なんて

 叶いもしない事を思う。


 俗には、現実逃避と云うのだろう。


 だんだんと下へ向かう手を意識しないように、

 向けられる欲も認識してしまわないように。


 ただ、任務に集中する。


 こっち、と手を引かれ、車に乗せられる。


 ……鈴木も酔いが回っているのだろうか、

 パーティーを途中で抜けた中也には

 気付いていないようだった。
 連れてこられたのは、いかにもな高層住宅。


 その最上階へと通された。
ハハッ、
やっぱり小さい男ってのは嫌なんだ?
あなた
ええ、背の高い殿方の方が良いです
 包まれてる感じがして、安心しますから。

 と、思ったことすら無い言葉を、

 つらつらと並べていく。


 本当は、筋肉質で、桜に攫われるわけがないような、

 そんな人が良い。
そっか、じゃあ、
なおさら僕の方が満足させられそうだ
 そう言いながらベッドに誘導され、

 そのまま腰掛ける。


 2人分の重みを受けたスプリングが、

 ギシリと音を立てる。


 …このまま、貞操を奪われるのは嫌だな、

 なんて考えていたら、

 急に電話の音が鳴り響いた。
ちょっとごめんね
 名残り惜しそうにベッドが降りた鈴木は、

 スタスタと電話の方へ歩いていく。


 そして手に取り、話し始めた。
………、あぁ、その件はもう進めてある
そっちは対処済み
うん、うん…じゃ、もう切るよ…って、え?
それホント?
分かった、うん、じゃあね
 通話を終え、くるりとこちらに顔を向ける鈴木。


 またベッドに腰掛けるのかと思いきや、

 私の手を取って、立ち上がらせた。
あなた
鈴木さん…?
ごめんね、ここ狙われちゃってるみたい
 想定外。


 だけれど、上手く行けば拠点まで連れて行って貰える。


 怯えたような、

 「狙われている」と知った世間一般の女性の

 反応を演じる。
あなた
え……
だから、
部下もいるけど…安全なところに行こう
あなた
は、はい…
あなた
で、でも、そこ、本当に安全ですか……?
うん。なにがあっても絶対に大丈夫だよ
 行こう。と手を取られ、

 抱き上げられる。

 俗には、「お姫様抱っこ」と呼ばれるもので。


 ほんの少し、顔を熱くさせる。


 照れていると、鈴木に錯覚させるために。


 鈴木の首に回した手を小さく動かして、

 小さな発信機を取り付ける。


 運転手さんに行き先を伝えて、

 シートベルトを締められた。


 もちろん、その間も、怯えた表情を保ったまま。


 怯えているから、手を強く握りこんでいるという体で、

 ぎゅっと手を握る。


 その手の…手袋の内側に縫い付けられた、

 小さな発信機を、作動させるため。


 鈴木につけた物とはまた別の、

 中也に合図を送るための発信機。


 では鈴木につけた物はと言えば、

 簡単に言うとGPS。


 鈴木の位置情報は、

 私と中也が持っている端末で見ることができる。


 これから私にできることは、

 中也を信じることだけだ。

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